教育改革の流れを受け、小学校をはじめとする学校教育に情報技術を活用した授業が増え、専門家による学校外からのサポートが求められています。そんななか、20年前から他に先駆け授業支援を行っているのが、ベネッセコーポレーションの「ICTサポータ」組織です。技術支援だけではなく、学びを通して地域の子どもの成長を見守りたいという思いを、ご紹介します。

デジタル化が進む時代にあり、学校教育にもパソコンやタブレットを使った授業が増えてきました。次期学習指導要領でも、子どもたちが予測困難な時代を生きていく力を身につけられるよう、「主体的・対話的で深い学び」を実現するための授業改善が提唱され、その手法として、ICT(情報技術を使ったコミュニケーション)を活用したアクティブ・ラーニングへの取り組みが本格化しています。

ベネッセコーポレーションでは現在、ICT活用に取り組む学校・先生を支援するために、全国2,484校(2018年9月1日現在)に「ICTサポータ(支援員)」を派遣しています。1990年の立ち上げ時は数人の組織でしたが、現在は500人を超える規模で活動しています。

20年前はパソコン操作のお手伝い、今は先生の授業づくりのサポートを担う

ICTサポータは当初、パソコン操作を身につけ「調べ学習」を支援するのが役目でしたが、10年程前から教室に電子黒板やパソコンが常設されるようになると、「教科を面白く学ぶための授業」をサポートする役割へと広がっていきました。

2004年からICTサポータを務める窪(くぼ)美穂は、変化を目の当たりにしてきたひとりです。
「私が最初にやったのは、小4生にローマ字の入力(タッチタイピング)を教えることでした。大人向けのインストラクター経験はありましたが、子どもって、1文字打てただけでも大喜びするんですよね。その様子がとてもかわいらしかったのをよく覚えています。今は子どもたちの家庭にも情報機器があるので、覚えるスピードは格段に上がり、1コマの授業で扱う内容量も多くなっています。」

授業づくりのための先生とのコミュニケーションも、より密度濃く行われるようになり、
「以前は、パソコンに触るのが怖いと言う先生もおられ、その不安を解消するのがまず大事な仕事でした。今はパソコンに慣れている先生がほとんどなので、生徒にとってどんな工夫があると面白くなるかという、授業の組み立てのサポートが主です。
先生の多忙な時間の合間に意見交換をし、授業の準備をしています。子どもたちが自分で気づき、考えて、発信できる力を身につけ、自信をもって生きていけるよう、先生と一緒に工夫を重ねる仕事はやりがいがあります。」

ちょっとした時間でも先生と意見交換し、教材(写真右例)の活用法を検討するICTサポータの窪。打ち合わせの質が授業の質を決める

ここ数年小学校は、ベテランの先生が減り、指導歴が短い先生へのスキルの伝承が難しい傾向にあるとか。
「教え始めの頃は教科書の枠の中だけで考えたり、自分の得意なことに偏ることもあるとお聞きしています。ただ、子どもの興味関心を刺激するにはいろいろな仕掛けや見せ方があります。ときには先生に、『子どもに何を学ばせたいですか?』と目的を明らかにする問いかけをし、授業の設計を深める提案をすることもあります。
先生から指示をもらって動くというよりは、何を目的にどういう成果を得たいか、そこを共有してから専門知識や経験知を提供するようにしています。」

地域の広報紙でとりあげられたICTサポータ(支援員)※「広報としま 特集版 2018年6月号」より

先生や地域の人々とともに、子どもたちの成長をしっかり支えたい

ベネッセのICTサポータが積極的な授業支援を行う背景には、熱い“地元愛”の存在があります。
「地元の子どもの成長を間近に見る仕事は、とても楽しいです。『できた!』という瞬間の子どもの表情は昔も今も変わらず、こちらもうれしくなります。」(窪)

ICTサポータは全国組織ですが、じつは各地方で地元採用を行っています。応募者には自分自身も子どもを持つ人たちが多くいます。ベネッセの組織運営担当者によると、
「その地域や学校に愛着があり、地元に役立ちたいと思って仕事に就く人が多いですね。親目線も持っているので、子どもにさりげなく声をかけたり、できたことをほめてあげたりして、学びへのモチベーションをどうしたら上げられるか、先生と相談しながら活動しています。地域の子どもを先生や保護者とともに育みたいという“地元愛”があります。」

同じ校区の小・中学校を担当していると、中学に進学したばかりの生徒から「見知った“パソコン先生”がいてくれて安心した」と言われることもあるとか。また、機器操作のテストを兼ねて運動会の練習風景を撮影し校内で上映会をしたところ、子どもたちのやる気がぐんと上がり、先生にも感謝されるなど、思わぬところで学校の盛り上げに役立つこともあるようです。

子どもたちの「できた!」の笑顔は、いつの時代も変わらない

学校授業のあり方は、時代とともにさらに変わる可能性があります。学びのコンテンツが世界にあふれ、情報インフラの整備が進み、AIの活用が本格化すると、子どもたちの学習内容も変わっていくかもしれません。ICTサポータ組織はどんな環境変化にあっても、先生に頼りにしていただける知識や情報をもつ授業づくりのパートナーとして、また、子どもの学習生活を見守るサポータとして、これからも地域に根差す活動を続けていきます。

───取材協力

ICTサポータ/教育マイスター
窪 美穂(くぼ みほ)

パソコンインストラクターを経て2004年からICTサポータとして地元である岡山県西地域を担当。現在は教育マイスターとして組織の人財育成を支える。




ベネッセコーポレーションのICT(Information and Communication Technology)教育支援は、行政からの委託のもと小学校を中心に中学・高校へと拡大しています。「よりよい指導をしたい」という先生方の願いに対して、教育のベネッセの専門知見を活用し、授業づくりのパートナーとして活動しています。

※ICTサポータ組織 情報提供:
ベネッセコーポレーション学校事業本部 営業開発部 人財サポート課(長谷井 孝志、新見 真理)

https://www.teacher.ne.jp/ict/index.html