「問題は、個々人の英語力を本当の意味で正確・客観的に測定できるツールが存在しなかったということです」
GTEC開発に携わった山下仁司は語る。
「従来の判定基準は、『話す』『書く』『聞く』『読む』という、コミュニケーションにおける4つの技能のうち、主に『聞く』『読む』という能力に重点を置いていることが多い。いわば『受け身』の側面だけを取り上げるために、こちらからなにかを『発信する』という重要な能力が問われることが少なかった」
相手の言い分は理解できるが、こちらの意見を主張することはできない……。このような英語力では、確かにビジネスの現場ではまったく通用しないだろう。また、「聞く」「読む」といった受動的な能力のみを測定する試験の場合、受験者が過去の問題を参考にするなど、ある程度の「対策」を立てることが可能になってしまう。結果として、本当の意味での英語力を証明するものにはならないわけだ。
「急速なグローバル化によって『英語で自分の意志を伝える』というスピーキング能力の必要性が高まり、同時に電子メールの普及によってライティング能力の必要性も高まったことで、従来のテスト結果が本来の英語力を証明しないという乖離は、ますます顕著になっています。ただ、『話す』『書く』など、『発信する力』を測定するのは、実は非常に難しいことなんです。特にスピーキングのテストは評価者が受験者一人一人の能力を一対一で判定する必要が出てくる。コストも手間もかかってしまうんですね。しかし、『話す』『書く』という、ごまかしの利かない部分を判定しないと、いつまでたっても日本人の英語は『使える英語』にはならない。これを改善するには、『まったく新しい測定法』が必要なんです」
現在の日本には本当の意味での英語力を測定する手段がない……。この「欠落感」が、GTEC開発の発端となった。
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