開発ストーリー
GTECとは?
テスト概要
本当の意味での『英語力』を正確に測定する新たなシステムを
きっかけは、本当の英語力を測定する手段がないことに対する素朴な疑問でした。そこから英語教育学者たちとの地道な研究がスタート、語学教育に定評のあるベルリッツや世界中のビジネスマンの協力を得て、まったく新しい英語コミュニケーション能力の測定テスト「GTEC」は生まれました。
GTEC日本側開発者・山下仁司に聞く
(1)	急速なグローバル化により、従来の英語力測定法が持つ問題点が浮き彫りに
(2)	プレテストとディスカッションを積み重ねた開発プロセス
(3)	GTECで「英語学習」という概念そのものを変えたい
急速なグローバル化により、従来の英語力測定法が持つ問題点が浮き彫りに
数年前までは日本のビジネスパーソンのキーワードのように多用された「国際化」「グローバル化」という言葉も、今ではいささか手垢が付いた観がある。ビジネスシーンにおける「国際交流」はもはや特別なことではなくなり、90年代半ばから急激に加速したITの進化によって世界はさらに狭くなった。個人レベルでもインターネットやメールを通じ、国境を越えたコミュニケーションを楽しむ人々が増えてきている。

こうした状況を受け、以前にも増して「英語力」の必要性が高まっていることは言うまでもない。「ビジネスパーソンにとって英語は必須スキルである」ということはすでに当たり前のこととされているが、しかし、急速なグローバル化に日本人の英語力がしっかりと追いついているかというと、必ずしもそうではない。依然として「日本人の英語力は実践的ではない」という状況があり、さらに言えば、英語力には自信があると思っていた人が実際に海外へ赴任し、自分の英語が現地のビジネスシーンで「まったく使いものにならない」ということを思い知らされる例も多い。

●発信する力を測るには「まったく新しい測定法」が必要だった
「問題は、個々人の英語力を本当の意味で正確・客観的に測定できるツールが存在しなかったということです」 GTEC開発に携わった山下仁司は語る。

「従来の判定基準は、『話す』『書く』『聞く』『読む』という、コミュニケーションにおける4つの技能のうち、主に『聞く』『読む』という能力に重点を置いていることが多い。いわば『受け身』の側面だけを取り上げるために、こちらからなにかを『発信する』という重要な能力が問われることが少なかった」

相手の言い分は理解できるが、こちらの意見を主張することはできない……。このような英語力では、確かにビジネスの現場ではまったく通用しないだろう。また、「聞く」「読む」といった受動的な能力のみを測定する試験の場合、受験者が過去の問題を参考にするなど、ある程度の「対策」を立てることが可能になってしまう。結果として、本当の意味での英語力を証明するものにはならないわけだ。

「急速なグローバル化によって『英語で自分の意志を伝える』というスピーキング能力の必要性が高まり、同時に電子メールの普及によってライティング能力の必要性も高まったことで、従来のテスト結果が本来の英語力を証明しないという乖離は、ますます顕著になっています。ただ、『話す』『書く』など、『発信する力』を測定するのは、実は非常に難しいことなんです。特にスピーキングのテストは評価者が受験者一人一人の能力を一対一で判定する必要が出てくる。コストも手間もかかってしまうんですね。しかし、『話す』『書く』という、ごまかしの利かない部分を判定しないと、いつまでたっても日本人の英語は『使える英語』にはならない。これを改善するには、『まったく新しい測定法』が必要なんです」

現在の日本には本当の意味での英語力を測定する手段がない……。この「欠落感」が、GTEC開発の発端となった。

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プレテストとディスカッションを積み重ねた開発プロセス
GTECの開発は、世界60カ国以上に拠点を持つ英会話学校のベルリッツ コーポレーションと教育測定システムの開発を得意とするベネッセが共同で行い、さらに国内外の著名な英語教育学者の助力を得ながら、「スピーキング能力とはなにか?」「ライティング能力とはなにか?」といった根本的 な問題を一から問い直すことからスタートした。「英語はコミュニケーションのツールである」とい うことを第一義に、あくまでも「意志疎通を図ることのできる『使える英語』」にこだわりながらテ スト設計を開始。世界規模でのフィールドテストを行い、試験の中でどのようなことを話させ、なに を書かせれば有効なのかを徹底的に分析した。

「出題内容は、あくまでも現実に即したものにする必要があります。ビジネスシーンにおいて誰でも が遭遇するような具体的な場面をシミュレートし、サンプルを作る。この試作品を国内のみならず、 各国の協力者にテストしてもらい、膨大なデータを収集します。それを分析しながら各問題の内容や 難易度を検証し、さらに改良を加え、次のバージョンの試作品を作成する。こうした作業を繰り返し、 徐々に内容を特定していったわけです」

プレテストで得たデータは実に1万件近くにのぼる。このデータを基に分析と改良を重ね、構想から 含めれば約5年の時間をかけ、「話す」「書く」「聞く」「読む」の4技能をトータルに測定できる 画期的なテストシステムが生み出された。

PCを活用してオンラインで受験するスタイルを取るため、受験者は時間や場所に縛られることなく効 率的に試験を受けることができる。また、ビジネスシーンで海外とメールをやり取りする機会が増え ている現代、PC上で英語のテストを行うことは非常に理にかなった方法だ。さらに従来は敷居が高か った「話す」能力の測定は、スピーチを「録音」し、それを一つ一つネイティブスタッフが判定する ことでクリアした。そして最大の特徴は、個々人の能力によってリアルタイムで出題内容が変わる 「項目反応理論」に基づくシステムを採用したことだ。これにより、GTECは80分という短時間で総 合的かつ正確に英語力を測定する、まったく新しい形のテストシステムとなったのである。
●グローバルに通用するテストという高いハードルを越えた
また、GTECの開発にあたっては、当初から『世界基準のテストを』という課題があった。日本国内 だけで通用するテストではなく、あくまでもグローバルに活用できるテストでなければならない。 ここにも開発の難しさがあったという。

「テストのシステム自体は日本側が開発したものですが、テスト内容の開発はアジアや欧米各国の協 力者を得て世界規模で行いました。この点で、やはり『グローバルなものを作ること』特有の難しさ を感じましたね。国境や組織の枠を超えて、それぞれのスタッフが共通の目的や方向性を見失わない ように調整していかなければならない。このハードルを乗り越えなければ、本当の意味でのグローバ ルなシステムは実現できません」

結果的に、GTECはこの高いハードルを越えることができた。この背景には、国内にも、また海外にも、 「GTECのようなテストシステムが必要だ」というニーズが従来から潜在的に存在していたからだろう と山下は分析する。

「GTECは多くの協力者の助力なしには成立し得ないものでした。私たちのコンセプトに共鳴してくれ、 協力を申し出てくださった方が本当に大勢いらっしゃったんです。やはり、従来の英語テストが徐々に 現実に即さないものになっているという懸念を抱いている人が多かった、ということでしょう。 我々は、以前から漠然とした形で存在していたニーズを具体的に形にすることで、GTECという新しい システムを作り上げたわけです」
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GTECで「英語学習」という概念そのものを変えたい
GTECというシステムの根幹にあるのは、「英語とはコミュニケーションのツールである」という明 確な思想である。ビジネスパーソンにとって、英語は研究の対象や目的ではなく、相手の意志を理解 し、自分の意志を疎通させるための道具でなければならないという発想だ。
「私たちは『英語は使ってこそ価値がある』と考えます。多くのビジネスパーソンにとって、グラマ ーの知識を蓄積することや、より美しい発音を身に付けることは、いわば二次的な問題。大切なのは、 ビジネスシーンにおいて、英語を使ってどこまで相手と対等にコミュニケーションが図れるかという こと。逆に言えば、ネイティブと同等な完璧な英語を身に付ける必要はない。つまり、『自分はどの 程度まで英語をマスターすればいいのか』という、自分の仕事に必要な英語学習のゴールを明確にし たいわけです。ここを曖昧にしてしまうと、英語学習は果てしのないものになってしまい、仕事どこ ろではなくなってしまう。ゴールと目標を設定することによって、ビジネスパーソンの英語学習は、 より効率的・実践的なものになっていくはずです」
●スコアレポートで英語力を多角的かつ詳細に分析
だからこそ、GTECのスコアレポート(採点表)は「話す」「書く」「聞く」「読む」に区分されるそ れぞれの英語力を、多角的かつ詳細に分析した構成になっている。一口に「英語が話せる」といって も、その内実はさまざまだ。例えば「発音は完璧だがボギャブラリーが少ない」という人もいれば、 「ボギャブラリーは豊富だが、構文の組立がめちゃくちゃで意志を伝えられない」という人もいる。 逆に、「発音も構文もめちゃくちゃだが、言いたいことを明確に伝える能力を持っている」という人 もいる。従来のテストでは、こうした能力の差異は数値化されず、客観的に把握することができなか った。これでは受験者が自分の弱点を掴みにくいばかりか、企業内の人事において「誰を海外に赴任 させるか」といった人選を行う場合、結果的に「いきあたりばったり」的な選別になってしまう可能 性が高い。GTECは、このような課題をクリアに解決できるシステムでもあるのだ。

「テストというものには、従来からどこかしらネガティブなイメージがありますよね。『受けさせられるもの』『試されるもの』という意味で、なんとなく『嫌なものだ』と思っている人も多いでしょ う。しかし、我々はテストを『企業内の人的リソースの活力を高めるツール』だと考えているんです。 一人一人が自分の強味や弱点を知る、管理側が人材の能力を客観的な数値として把握する……。 こうした作業は、課題を発見し、それを克服するためには絶対に必要なものだと思っています。 GTECは、企業レベルでも、また個人レベルでも、さまざまな成長を促進させる一つのツールとして、 多角的に活用できるはずです」
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