ベネッセスタイルケアの老人ホーム(介護付きホーム)「メディカルホームグランダ湘南台」は、地元の小学生とその保護者を招き、介護の仕事を体験するイベントを開催しました。高齢社会と言われる一方で祖父母と離れて暮らす家族も多い今、小さいころからお年寄りの暮らす環境や「介護」にふれてほしいというねらいに、子どもたちの反応は―。当日の様子をご紹介します。

子どものころから高齢者の生活をリアルに知ってほしい

イベントに集まったのは、同ホームに隣接する学童クラブの小学生と保護者の方々。企画責任者のベネッセスタイルケア・遠藤篤之は、今回の目的をこう話します。
「この地域をはじめ首都圏では核家族化が進み、お子さんも保護者の方も高齢者とふれ合う場がどんどん少なくなっています。ただ、老人ホームに子どもたちが来ると、それだけで入居者様の表情が明るく変わるんです。認知症の方が子どもと普通に会話するようになることもあるほどです。異なる世代の交流をもっと増やしたいと考える一方で、子どもたちにはお年寄りの暮らしをサポートする介護という仕事があることも知ってもらいたい。超高齢社会に向かうなかで育つ世代に、生活のリアルな側面を伝えることも、とても大事な役割だと考えています。」


イベントは2019年11月に行われた。参加者はまず、老人ホームの入居者の一日と、そこに関わる介護スタッフの仕事についてレクチャーを受けた。

体調への配慮、移動の手助け。初めて知る介護の仕事に好奇心いっぱいで挑戦する子どもたち

●手洗いチェック

お仕事体験の始まりは、手洗いからです。丁寧に洗ったあと、参加者全員がホームのスタッフに手洗いチェッカーを当ててもらいます。様々な体調の高齢者と接するには、常に清潔であることが大事だと聞き、子どもたちは真剣に手元を見つめていました。


光を当てて白く光るところに雑菌が残っている。スタッフに「指の間や手のシワに雑菌が残りやすいんだよ」と説明してもらう。

●食事介助

手をきれいにしたら、食事介助の準備の体験です。テーブルに配られた缶ジュースと白い粉末を前に、保護者の方と不思議そうに顔を見合わす子どもたちでしたが、粕谷規子ホーム長から、
「食べることはご入居者様の一番の楽しみです。ただ、一人で食事をすることが難しい方もいますので、スムーズに飲食していただく工夫をします。たとえばジュースは、ゴクゴク飲めずに、むせることがあります。危険なので、ジュースに“とろみ”がつく調整剤を入れてゼリー状にし、ゆっくり自分のスピードで飲み込める状態にしてご提供しています」と聞き、これも大事な仕事と理解した様子で調合に取り掛かっていました。


親子で “とろみ” をつける介護食づくり。普通のジュースと飲み比べると不思議な食感…。

●車椅子介助

「止まっている時には、必ずブレーキをかけましょう」「足台に足を乗せてから押さないと、タイヤに挟まれてしまう危険性があります」といった指導のもとで取り組んだのは、車椅子の使い方です。子どもたちはこれまでも、学童クラブと老人ホームの交流会で車椅子に乗る人を見ていましたが、操作するのは初めてです。

恐るおそる保護者を乗せて押してみるものの、なかなかスムーズにいきません。スタッフに要領を教わり段々うまく進むようになると、
「お母さんはもっと重たいかと思ったけれど、教わったように押すとスーッと進みました」「下り坂でスピードが出るんじゃないかと怖かったけど、最後は自分の思ったように動かせてよかったです」など、自分も大人をサポートできるんだと、ちょっぴり自信になったようでした。

子どもたちに、教育と介護に関わるベネッセだからできることを

今回のプログラムはベネッセの学童クラブと老人ホーム、それぞれの担当社員・スタッフが連携して企画しました。参加者を見送ったあとメンバーは、「いつもの楽しい交流ではなく生活現場にふれてもらう内容だったので、どう受け止めてくれるかなと思っていましたが、子どもたちなりに介護の仕事を理解してくれたようでよかったです」と、ホッとした様子でした。さらに、
「教育と介護の事業を行うベネッセだからこその企画を、これからも色々と考えていきたいと思います!」(企画責任者・遠藤)と、力強く語ってくれました。


左から遠藤篤之(えんどう あつし/ベネッセスタイルケア学童事業部)、粕谷規子(かすや のりこ/メディカルホームグランダ湘南台ホーム長)、浅海夏代(あさうみ なつよ/取材時同ホームサービスリーダー・現ボンセジュール湘南台副ホーム長)、左治木恵太(さじき けいた/ベネッセ学童クラブ湘南台施設長)

情報・取材協力

・株式会社ベネッセスタイルケア
https://www.benesse-style-care.co.jp/

・メディカルホームグランダ湘南台
https://kaigo.benesse-style-care.co.jp/area_kanagawa/fujisawa/home_gd-shounandai

※「こどもと一緒に介護のしごと体験イベント」は、厚生労働省の「介護のしごと魅力発信等事業」で、産経新聞社と一般社団法人全国介護付きホーム協会が連携して、全国の介護付きホーム(特定施設)で開催されたものです。