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社会課題の解決を目指して活動している先駆者を招き、未来のありたい姿を考える勉強会“サステナビリティ Meet up”。第2回のゲストは、国際パラリンピック(IPC)・国際オリンピック(IOC)両委員会の教育委員を務めるマセソン美季さん。多様化が進む社会で、日本の教育の問題、教育のありかたとは。示唆に富む会の様子と、参加した社員の声をご紹介します。

■マセソン美季(みき)さん
東京学芸大学在学中、交通事故で脊髄を損傷。パラスポーツとの出合いを経て、長野パラリンピック、アイススレッジ・スピードレースで金・銀各種メダルを獲得。カナダのアイススレッジホッケー選手と結婚し、カナダ在住。現地で小学校の教師になった経験も活かし、共生社会の実現に向けた教育の普及・啓発活動に取り組んでいる。

視点を変え、工夫次第で「不可能」が「可能」になる

2020年に東京で行われるパラリンピックに向け、開催国である日本でもバリアフリーが進み、「誰も置き去りにしない」SDGsの考え方がひろまってきているとされていますが、本当のところは――。

2019年11月26日、社会課題に関心が高い社員が自主的に集まる社内勉強会が行われました。

ゲストのマセソンさんは、未来を生きる子どもたちが、多様性があり、誰もがよく生きることができる「共生社会」の実現をめざして活動。そのために「大きなチャンスになる」というパラリンピックについて、自身の経験を話されました。

多摩オフィスに加え、新宿・神保町・岡山の各拠点とテレビ会議で中継をつなぎ、約100名の社員が参加した。

「体育の先生になることを夢見て大学に通っていた時に事故に遭い、車いすの生活となりました。将来を思い暗い気持ちになることも。でも、当時見た車いすのバスケ選手を見て、『大好きなスポーツをもう一度やってみよう』とパラスポーツの世界に入りました」

「パラリンピックのイメージを『かわいそう、大変そう』と思うかたが多いかもしれません。でも、私自身が競技を体験して、他の選手たちを見る中で、大きく意識が変わりました。全盲のスキー選手、両手のないアーチェリー選手を見ると、出てくる言葉は『かっこいい、すごい!』。パラリンピックは、人間の可能性を感じることができる大会です」
現在、マセソンさんはパラリンピックを題材にした教材『I’m POSSIBLE』(※)の開発や普及に力をいれています。

「この教材のタイトルのように、“impossible(不可能)”に「’」を足すだけで“I'm possible(可能)”になります。これまでマイナスにしか見えなかったものも、視点を変え、工夫次第でポジティブにとらえられる。そう思える子どもたちが増えれば社会が変わる。そう信じて活動をしています」

※『I’m POSSIBLE(アイムポッシブル)』日本版 : 国際パラリンピック委員会公認教材。国際版教材の内容をもとに、日本財団パラリンピックサポートセンターと、公益財団法人日本障がい者スポーツ協会、日本パラリンピック委員会が公益財団法人ベネッセこども基金と共同開発。

世界と日本の違い。車いすに乗った人を見て、子どもに質問をされたら?

家族が住むカナダと日本を行き来しながら活動をするマセソンさんは、世界と日本とで違いを感じるそう。

「私は世界のどこでも、同じ車いすを使って同じように移動をします。でも、日本では、車いすに乗っているだけで“特別”。見えない壁を強く感じます。一番大きな壁は差別や偏見。では、それをもたらすものは何だと思いますか?」


「答えは――『教育』。これをある専門家の先生から聞きショックを受けましたが、自分でも納得することがあります。例えば、車いすの私を見て、子どもたちの声は世界中で同じ、『あれ、何?』です。でも、日本で親は『指をさしちゃダメ』『じろじろ見ちゃダメ』」

「カナダでは、親がやってきて『子どもがあなたに質問をしてもいい?』と聞かれます。そこから子どもたちと普通に会話がひろがります。車いすに乗る人や障がいがある人も、違いがあるだけで同じ。違いのある人々がともに過ごすことで得られる発見や学びが大切にされます」

“差別や偏見を作るのも、変えることができるのも教育”というメッセージに、参加した社員は真剣に聞き入りました。

みんな違っていい、多様性を意識した「教育」を届けたい

勉強会を終え、参加した社員からは、さまざまな学びが得られたとの声が聞かれました。

「自分自身、“みんなと同じが是”という考えを刷り込まれてきたように思います。教育に携わる者として、未来に向かって、異なるものを排除するのではなく、“みんな違っていい”を核にしていきたい」(教育事業担当・松田 聡子)」

「車いすのバービー、自閉症の子が登場するセサミストリートなど、海外の玩具やアニメは日本より多様性を意識した『教育』を感じます。0歳から大人までの教育にかかわるベネッセとして、多様な人たちの存在をきちんと教材にも反映していくことが必要だと思いました」(教育事業担当・萩田 和加)

『I’m POSSIBLE』日本版教材の共同開発に携わった、ベネッセこども基金の小松ゆかりにも開発時のことを聞いてみました。

「日本版は、国際版のテーマに基づき、日本の先生や子どもたちが取り組みやすくわかりやすい内容にこだわって作成されました。マセソンさんたちメンバーとたくさん話をしながら教材を作る中で、大きな気づきやヒントがたくさんありました。こうした教材や考え方がひろまることで、これまでの価値観や先入観にとらわれず、子どもたちが未来を力強く生きていける社会になればと願っています」

多様化が進む社会で、日本で、子どもたちに届けたい教育のありかたとは何か。一人ひとりが改めて考える機会となりました。

今後も、ベネッセでは、さまざまな社会課題に取り組む先駆者と語り合う“サステナビリティMeet up”を開催。社員自らが考え、企業理念である「Benesse=よく生きる」を社会へとひろげる活動に取り組んでいきます。
*“サステナビリティMeet up”の活動について、今後も当サイトでご紹介していきます。

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