ベネッセコーポレーション「進研ゼミ中学講座」は、中2生を対象に、“好きなこと”から“なりたい自分”を見つけるワークショップを開催しました。職業の在り方が変わりつつあるいま、将来を主体的に楽しく描き、学びへのモチベーションになることを願って企画したものです。それぞれの可能性の芽を見つけた、参加者たちの様子をご紹介します。

中学2年生は、将来を考えることがテーマのひとつになっている学年です。自分の夢を見つけてそれに向かっていく子がいる一方、現実にふれ、夢を描きにくくなる子も増えるようです。「AIの導入で仕事が無くなる」と不安を抱える子も多く見られます。

「進研ゼミ中学講座」は、そんな気持ちから一歩踏み出して、なりたい自分を発見してもらいたいと、イベント「自分デザインCAMP〜なりたい自分を発見する中2の夏〜」を開催しました。テーマは、「“自分の好きなこと”から“稼ぐ”を考える」。主体的に描いた未来に向かって、今の学びへのモチベーションを上げてもらおうという試みです。

「稼ぐ」とは、だれかの“困った”を解決すること

2018年9月1日、東京都・渋谷ヒカリエのイベントスペースに集まったのは中学2年生24人。イベントは2部構成で、最初に人気職業である声優・ゲームクリエイターの方のトークセッションを聞き、「稼ぐ」ということを考えるきっかけづくりをしてから、第2部のワークショップで「稼ぐこと」を疑似体験しました。ここでは第2部の様子をご紹介します。

ワークショップは教育デザイナーの川村哲也さん(COLEYO.Inc代表)のファシリテートのもと、参加者4人とアドバイザー役の中学講座の社員を1グループにし、進行しました。最初に川村さんから、
「仕事は、だれかの“困った”を解決することです。AIが進化しても、商品の個性を創れるのは人間です。自分の“好き”を生かして魅力的な商品を作り、誰かをハッピーにできるなら、仕事は楽しいものになります」とレクチャーがありました。

その後、子どもたちは、それぞれ準備してきた「好きなものコラージュマップ」をもとに、自分が好きなものや好きなことをなぜ・どこが・どんなふうに好きなのかを深掘りしていきました。そして、さまざまなプロセスを経て、“好き”を活かした商品アイデアを考え、試作品を作り上げていきました。

参加者が作成した「好きなものコラージュマップ」の一部

まわりの意見を聞きながらより良い商品にする体験

スポンジや発泡スチロール、モールなどさまざまな素材を使って試作品づくり

だれかの“困った”を解決する商品アイデアを形にするのはなかなかむずかしいことです。電車が好きなある参加者は、車内用の折りたたみ机「ひざdeワーク」を試作。大人がパソコンを膝に置いて仕事をしているのを思いだし、発案したそうです。じつは「折りたたみ」のアイデアには、メンバーとのこんな会話がありました。

「この机、100円ショップにある素材で作るとすれば1000円くらいだけど、買う?」
──「大きな立体だから電車で持ち歩くのは大変。買わないよ」
「じゃあ、パタパタと折りたためるならどう? 材料が増えるから値段は上がるけど」
──「あっ! それ便利かも」

意見を聞きながら改良していくという“仕事”のプロセスが、自然に生まれていました。

はじめはみんな黙々と手を動かしていましたが、意見を求めたり手を貸し合ったりと、楽しみながらの共創の場に

90分間の作業はあっという間に終わり、試作品の発表へ。自分は“何が好き”で“どんな困った”を解決するのかを、初めての相手にもわかるようにプレゼンテーションします。

たとえば、東京駅の広い構内で迷った経験から生まれた「AI/スマホ連動 案内板アプリ」という商品は、改札口でインストールして目的地を入力すれば、構内をスイスイ歩けるという仕組み。会場にいた大人たちからも「なるほど」の声があがりました。
また、出張が多くて大好きな猫に懐いてもらえないと嘆く人のための「カメラ付きロボット」は、ロボットに自分の顔写真を付けて遠隔操作すれば、まるで一緒にいるかのように猫と遊べ、顔を忘れられることもないはず、という猫好きならではのアイデア。他にも、困った人をハッピーにする様々な企画が披露されました。

“好き”が仕事につながると、楽しい!

ワークショップの後、参加者に感想を聞きました。
「グループの人の意見を聞きながら工夫を重ねてカタチにできたのが楽しかったです。両親の様子や小説の内容から、仕事は大変なものだと思っていましたが、今日のイベントを通して『好き』が仕事にもつながるんだ、楽しいものなんだと、イメージが変わりました」

「仕事をリアルに感じることができました。グループのメンバーは自分の将来を考えている人たちばかりで、真剣に語り合えたのも楽しかったです」

「メンバーやファシリテーター、アドバイザーから意見をもらい、よりよい作品になりました。社会人と話す機会はあまりないので、大人の人がきちんと応えてくれたのはうれしかったです」

会場の後ろから見守っていた保護者の方々にも、こんなお声をいただきました。
「本人も進路に迷っているようだったので参加をすすめました。学校の職業体験とは違う形で『仕事』を考える機会になり、良かったと思います」

「いつも親や先生とは接していますが、それ以外の大人と1対1で話したり、友だち以外の同世代から考えを聞いたりしている姿を見て、安心しました。大きな刺激になったのではないでしょうか」

好きなことから始まる“仕事”を体感した中2の夏。別れ際のみんなの笑顔に、これまでの常識にとらわれず未来を切り拓こうという、大きな可能性を感じました。

担当者から

https://chu.benesse.co.jp/

イベントを終えて
(運営担当 中学生商品部・新井百合子)

子どもたちは、大いに悩んだり考えたりしていましたが、一人ひとりユニークなアイデアを完成させていました。子どもたちの理解力と発想の柔軟さに感動します。この機会が、それぞれのミライへつながる大きな一歩となってほしいと願っています。そして「進研ゼミ中学講座」では、今後も様々なイベントや商品・サービスを通じて中学生の「主体的に学ぶ力」を育てていきます。

※イベント主催 進研ゼミ中学講座、協力 Tokyo Work Design Weekオーガナイザー/&Co.,Ltd 代表取締役 横石 崇氏、COLEYO.Inc 代表 / 教育デザイナー 川村 哲也氏