持続性ある社会をめざし、学校でのSDGs教育が広がるいま、東京個別指導学院ではカードゲーム「2030 SDGs」を活用した社員ワークショップがスタートしました。小学生から高校生まで、日々接する子どもたちと自分の言葉でSDGsについて話し、共に考えていくことを目標に、まずは首都圏の現場社員約250人を対象に実施。社会全体がよりよい状態になるために大事なことを体感するとともに、仕事への姿勢をとらえ直す成長の機会にもなっています。

※SDGs(エス・ディー・ジーズ/Sustainable Development Goals)とは、2015年9月の国連サミットで採択された国際的な目標です。  https://www.benesse.co.jp/brand/about/about_sustainability/

SDGsを自分事として考えることは、社員の成長にもつながる

東京個別指導学院は、個別指導塾を運営するベネッセグループの会社です。持続可能な社会づくりを担う将来世代の育成をはじめ、「人づくり」に携わる企業として、事業活動を通じて目標の達成に寄与することをめざしています。首都圏教室を統括する第一事業部部長・神原真也(かんばら しんや)がこの社員ワークショップを立ち上げたのも、会社方針に共鳴してのものでした。

大学時代に同学院の講師をしていた神原は当時、ネパールを旅し、同世代の現地の人と親しくなり、暮らす環境や意識の違いにとても刺激を受けたそう。「その頃から、社会を変えるには人の意識を変えていくことが大事だと感じていました」

神原「数年前友人が、カードゲーム『2030 SDGs』のファシリテーターとして小・中学校に出向いていると聞き、教育に携わる人間として自分もSDGsを深く理解する必要があると考え、ゲームに参加してみました。実際にやってみると国際的な目標への理解が深まるだけでなく、他の人の視点から物事を考えることの大事さにも気づき、非常に面白いと感じました。この手法は、社員がSDGsの本質を理解することと、精神的成長にもつながると考え、ぜひ取り組みたいと社長に直接相談しました。」

企画は理解を得てすぐに通り、首都圏の教室長・副教室長を担う社員を対象に実施してみようということに(*1)。2019年9月~10月に計6回、250人余りが参加した現場の様子から一部ご紹介します。

2030年までの道のりを疑似体験。理想の世界を創るのは結構難しい…

世界がSDGsの17の目標を達成するためには、それぞれの国が協調して推進することが求められます。「2030 SDGs」ではカードゲームを通して楽しみながらそれを理解し、体感する仕掛けが施されています。数人ずつでチームを組み与えられたプロジェクトテーマを実行しながら、全チームで構成する“世界”が理想的なバランスになっていくよう動きます。

ゲームの前半は、どのチームも自分たちのテーマだけを考えて動いていましたが、ふと気づくと、経済・環境・社会からなる『世界の状況メーター』がおかしなバランスに…。「経済は潤ったけど、他のメーターがゼロになっている。この世界、まずくない?」などの声が飛び交います。

後半になると世界全体のバランスを考えながら行動するチームが増えていき、プロジェクトを実行するために「お金が余っているから、時間と交換しない?」といった交渉も始まりました。どのチームがどんな元手を持っているかの情報を提供し、困っているチームを助けるなどのコミュニケーションがうまれ、最後は『世界の状況メーター』に多くの人が納得する結果となりました。

「今日教室に帰ったら、講師や生徒たちとSDGsについて話したい」

終了後、参加者の声を聞きました。

左から、大場 菜美子(おおば なみこ/北千住教室 副教室長)、飯塚 彩稀(いいづか さき/ひばりヶ丘教室 副教室長)、山垣内 智文(やまがいと ともふみ/大泉学園教室 教室長)

大場「先に目標達成したチームから『何か困っていることはない?』と声をかけられ、頼もしかったです。SDGsを達成するには、そうした一人ひとりの取り組み姿勢が大事だと感じました。」

飯塚「私たちのチームは早々に目標を達成できました。『カードを交換しませんか』と積極的にコミュニケーションしていたからだと思います。仕事のやり方にも重なるなと、参考になりました。」

山垣内「豊かな世界をつくるために、自分たちだけが目標を達成することが大事ではないと学びました。仕事でもその視点はとても重要で、自分の教室だけに目を配るのではなく、この先、会社全体としてどうすべきなのか常に意識したいと思いました。今日教室に帰ったら、講師や生徒たちとSDGsについて話をしたいと思います。」

研修を推進する神原は、
「もう1回やってみたいという声もでるほど、多くの気づきがあったようです。これから子どもたちの進路サポートにもSDGsの視点が加わるでしょうし、当社のSDGsに関連する活動を、生徒や保護者の方に社員自らの言葉で伝えていくことも大事な仕事になります。研修で得たことは、そんな場面できっと活きるはずです。そして社会のために自分は何ができるかを考え、成長するきっかけにもなればと期待しています。」

社員の主体的な活動による試みは、さらに続いていきます。


(*1)この社員ワークショップは、ベネッセホールディングス、ベネッセコーポレーション、進研アド(ベネッセグループ)の「SDGs2030」公認ファシリテーターを取得した社員の協力により実現しました。
 ※参考:イマココラボ/カードゲーム「2030SDGs」の紹介
 https://imacocollabo.or.jp/games/2030sdgs/

情報・取材協力

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・株式会社東京個別指導学院
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・東京個別指導学院SDGsページ
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