わが子といっしょに過ごす時間が長い今、家庭での勉強はどうしたらよいか、また、どうサポートしてあげたらよいのかと、悩ましく思う方もいらっしゃるのではないでしょうか。
ベネッセ教育総合研究所は、「小学校高学年の学びに関する調査2019」(※)を実施し、保護者が「ほめること」が子どもの学習にプラスに影響するという結果を報告しています。2020年度からの学習指導要領でも重要視されている、子どもが学ぶことに自ら興味関心をもち、主体的に学ぶ姿勢を伸ばすために 「ほめること」が具体的にどう子どもに影響するか、今だからこそ知っておきたい情報をご紹介します。

※ベネッセ教育総合研究所「小学校高学年の学びに関する調査」(2019年) 調査対象:全国小学4年生~6年生とその保護者3,004組

「よくほめる」ご家庭の子どもは、主体的に学びに向かう。

ベネッセ教育総合研究所が実施したこの調査では、保護者の「ほめる」という関わり方について着目し、詳細にたずねています。

その結果、子どものことを「よくほめる」保護者と「ほめない」保護者では、それぞれの子どもの学びに向かう姿勢や意識に大きな違いがあることがわかりました。

「よくほめる」保護者の子どものうち、「新しいことを知ることができてうれしいから」勉強する子どもが約8割など、より自律的な動機づけで勉強し、勉強やテストの前後に考える・確かめるなど、いずれも「ほめない」保護者の子どもよりスコアが高い。「ほめない」保護者の子どもより、自信をもって、親に頼らず、主体的に学びに向かう様子が見てとれる。

ポイントはほめ方。子どもと一緒に一日の計画立てや振り返りをして、「具体的に」「プロセスを」ほめる。

では、なぜほめることが子どもに影響を与えるのか、そして、どうほめるのが効果的なのか、この調査を担当したベネッセ教育総合研究所の邵勤風(しょう・きんふう)に話を聞きました。

「親はみんな、子どもの成長を心から願い、なんらかの形で子どものことをほめています。今回の調査でも実際に多くの保護者は子どもをほめる、と回答しています。ただし、ほめることがすべてプラスに働くわけではありません。例えば、子どもがいい成績をとったときに『いい成績がとれて、すごいね!』とほめることが、子どもにとっては『次もいい成績をとってほしい』という親の意図が感じられ、プレッシャーになる場合もあるでしょう。ポイントはどうほめるか、です。」

調査では、子どものことを「よくほめている」「ときどきほめている」保護者のほめ方についても聞いた。「具体的に」「失敗しても努力したことを」、また「過去と比較しての成長」をほめている保護者が多かった。

「ほめるときには、『すごいね、よくやったね』だけではなく、なぜ、どこがすごいのか、具体的にほめることがポイントです。それによって、子ども自身は気がついていないことを意識し、主体的な学びに欠かせない、メタ認知とも呼ばれる『自分を客観視する力』が育まれます。また、結果だけではなくプロセスをほめることも大切。たとえば、正解ではなく、正解にたどりつく解き方や考え方をほめてあげることで、子どもにとっては、自分の学習を意識し、振り返ることになります。そして、この保護者の「ほめる」行動が、子どもの新しい目標や学習への工夫につながります。」

家庭で子どもと一緒に過ごすことが多い今、保護者が家でできる過ごし方の工夫についても聞いてみました。

「一日をどう過ごすか、お子さまと一緒に話しながら計画を立てみることをおすすめします。そして、勉強に限らず、小さなことでも、うまくできたら、具体的に、そして努力したことをほめてあげましょう。勉強でも、遊びでも、工夫することを促し、うまくできたら心からほめてあげてください。ちょっとしたことですが、こうしたことで親子のコミュニケーションのキャッチボールから、お子さまの学びのサイクルにいい循環がうまれると思います。」

“今”を大切にしてほしい。調査研究の公開を通じ、子どもが主体的に学びに向かう一助となりたい。

「子どもと一緒に家庭で過ごす時間が長くなると、保護者のかたはお子さまの学習面に対して不安もあるかもしれません。でも、先が見えない時代に、今こそ、お子さまと向き合う時間が大切。ちょっとした意識やほめ方で子どもは変わります。こうした調査研究の報告が、お子さまが主体的に学びに向き合う一助になればと心から願っています。」

ベネッセ教育総合研究所では、これからも、子どもや教育に関連したさまざまな調査を独自に行い、その結果を公開していきます。

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プロフィール

邵 勤風(しょう・きんふう)
邵 勤風
(しょう・きんふう)
邵 勤風(しょう・きんふう)

レポート監修:ベネッセ教育総合研究所 学び・生活研究室 主任研究員

自ら学ぶことに必要な要素について、教育心理学の「自己調整学習」理論では、学習者が自ら目標を設定し、主体的に学習を進め、学習成果を出すために、「メタ認知」(自分を客観視)、「学習の動機づけ」(学習意欲、やる気)、「学習方略」(勉強方法)という3つの要素が重要であるとされています。親子パネル調査の学習に関する部分は、この「主体的な学び」の学習モデルに基づいて設計しています。