赤ちゃん連れで満員となった「ママtomoパパtomo カレッジ~共働き家族の未来を創る~」は、共働きしながら育児をする夫婦にとって、知識の収集や同じ立場の人たちと意見を交わす、貴重な場となりました。当日の模様から、注目ポイントをレポートします。

赤ちゃん連れで満員となった
「ママtomoパパtomo カレッジ~共働き家族の未来を創る~」
共働きしながら育児をする夫婦にとって現代は、子育てに関する頭の痛い課題が山積みの時代です。働く女性が育休後に職場復帰したいと考えても、待機児童問題に直面し子どもを保育園に預けられない。父親になった男性が育休を取得しようと思っても、なかなか社内で言い出しづらい雰囲気がある。「ワンオペ」育児という言葉に代表されるように、夫婦の分担がうまくいかず、家事や育児の負担がひとりにのしかかってしまう…など。
そんな中、昨年秋、ベネッセコーポレーションの「たまひよ」と実践女子大学共催による「ママtomoパパtomo カレッジ~共働き家族の未来を創る~」が開催されました。ここではその模様の一部をご紹介します。

当日は、実践女子大学渋谷キャンパスでの講義形式にもかかわらず、赤ちゃん連れの夫婦でほぼ満員。「どのようにしたら働きながら子育てがうまくいくか」が、多くの共働き夫婦の関心ごとになっている様子が伺えます。

赤ちゃんといっしょに参加できるイベント「ママtomoパパtomoカレッジ2017秋」。キャンパスにいつもと違う風景が。

日本のパパの育休取得率は3%。 思うようにいかない現実

講義の中で示されたことの一つは、「共働き世帯が当たり前になりつつある世の中に、社会や制度が追いついていない」ということ。例えば今の日本で、育児休業制度の取得を考えている父親は30%を超えていますが、実際に育休を取得する人は、わずか3%。一方ノルウェーでは、父親に一定の育児休暇が割り当てられており、取得しなければ休暇が短縮されるため、80%以上の人が取得しています。さらに賃金保障は100%(※1)。仕事と子育ての両立には、社会や制度のあり方が大きく関わると考えられそうです。

(※1)石井クンツ昌子先生(お茶の水女子大学 大学院 教授)「ポジティブ社会学から紐解く 新しい家族のありかた」より

石井クンツ昌子先生「ポジティブ社会学から紐解く 新しい家族のありかた」の授業風景。方々から聞こえるお子さんの泣き声にも、「子どもは泣くことが仕事ですから、どんどん泣かせてください」と。その一言で、会場も和やかに。

「子育て」ならぬ「孤育て」になっていませんか?

講義の中には、先輩ママから今まさに育休からの職場復帰に直面するママたちへ、アドバイスが送られるひとコマも。すぐにでも役立つ具体的な話に、参加者は真剣に聞き入っていました。質問コーナーでは手を挙げる人が続き、悩みを相談できる人がいることの重要性が垣間見えました。

<先輩ママのアドバイスより>

・キャリアアップもしたいが子育ても大事にしたいとき、その気持ちを素直に上司に相談しておくことが大切だと思います。昇進したいという気持ちがあることを分かってもらうためにも、自分ひとりで抱え込まないためにも。

・子どもと過ごす時間が少ないと悩んでいたけど、1日に30分だけでも子どもと過ごすことだけしかしない「子どもとのラブラブタイム」をつくると決め、実行してからは、気持ちがずいぶんラクになりました。

子どもが熱を出してしまったり、どうしても職場を離れなくてはならないときは、「すみません」「よろしくお願いします」を柔らかい物腰で伝え、同僚を頼りにします。

講義に集中するママたち・パパたち。ボランティアの学生さんが、グズるお子さんをあやす姿もあちらこちらに。

同じ立場で語り合うことも、 これからを考える大事なきっかけ

ワークショップでは、参加者同士が自由に意見交換。遠慮がちに始まった自己紹介から次第に談笑へと変わり、盛り上がりをみせました。
参加者からは「悩みを共有できて良かった。自分のやりかた、上手くいく方法を見つけたいと思った。」「同じように奮闘している人たちがいると知って、心強く感じた。」などの声も。夫婦それぞれに、同じ立場の人とつながったり、様々な家族の考え方を知る中で、「うちはこうかな」と考える機会になったようです。共働きのあり方も、こんなきっかけから変わっていくのかもしれません。

近くの参加者同士での意見交換。普段は夫婦間でも言葉にしない気持ちを口にしたり、他の人の意見を聞くことで、自分なりに考えるきっかけに。

ママtomo パパtomo カレッジ2017秋