私が校長時代に行った研修会は、優秀な研究主任の先生が主導されましたので、私は全幅の信頼を寄せていました。したがって、私が特に工夫したことはありませんし、お願いしたこともありません。
私が校内研修に呼んでいただいた時は、英語科としての知的で楽しい活動を紹介しました。例えば、小学校ではThe Odd One Outという活動で、bananas, lemons, grapefruits, grapesの写真を見せ、どれがthe odd oneであるかを様々な観点で言っていただくと、「bananasだけがlongで、あとはroundだ」、「grapesだけがbrownで、あとはyellowだ」、「lemonsだけがsourで、あとはsweetだ」など、異なる答えがたくさん出てきます。その後、私が”Lemons grow singly. Bananas, as you know, grow in bunches. Grapes grow in clusters. And do you know grapefruits grow in clusters, too, like grapes? That’s why the fruit has “grape” in its name.”と言うと、多くの先生方が驚かれます。このような「楽しい気づき」や、バラバラだった知識が磁石を中心に吸い寄せられて関連付けられるような楽しさを味わって先生方に笑顔が溢れると、各教科で「自分たちもこういう授業をして生徒を笑顔にしたい」と思われ、研修会後に職員室でディスカッションが起こります。それを狙いました。
研究授業とその後の合評会については、本Webの「英語指導の部屋」にある「授業作りと授業見学の視点」というファイルをご参照ください。
気をつけたいのは、校長として赴任した学校でいきなり改革を推進されないことです。まず、その学校の歴史や特徴を知る、先生方を知る、生徒を知る、保護者を知る、そしてそれぞれのニーズを知る、というインプットから始め、先生方が課題だと感じていることを聞き出し、そこに効果的にヘルプの手を差し伸べるための研修会をデザインすることから始めます。そして、教頭や研究主任たちと相談し、このような研修会ではどうだろうかと打診されるといいと思います。要は、研修担当の先生がやる気を起こされることであり、校長の命にしたがっていやいや実施する研修会にならないよう、気をつけることです。
授業では、児童生徒が成功体験を得ることが大切です。成功体験をしてこそ、自己肯定感が高まり、自尊心が育まれ、次の学習への意欲が高まります。私ならば、「児童生徒が成功体験を得られる授業作り」を共通目標としたいと思います。同様に、先生方も成功体験が必要です。先生方が時間と労力をかけて作った授業で、児童生徒が何かが分かったりできるようになったりして喜んでいる姿を見て、彼らと一緒に喜べることが教師としての成功体験となります。
また、個々の児童生徒を深く理解し、彼らのために尽力していることを彼らが分かっており、信頼されているとか、ラポールがあるなどというのも、教師としての成功体験です。よく怒鳴る先生も、本当は子どもが嫌いではありません。しかし、教師としての知識技能が不足している場合が多く、怒鳴るからイライラする、イライラするから怒鳴る、という悪循環に陥っていることがよくあります。そのような教員に成功体験を持たせ、心が穏やかになるよう導くには、戦略と戦術と我慢が必要です。それも校長の力量と言えるのではないでしょうか。
校内研修でも、都道府県や市町村の研究大会でも、生徒たちや先生方が成功体験を得ることが大切だと思います。校内研修も、先生方が成功体験を得られるようにデザインした上で、研究担当教員に花を持たせるのが校長の仕事だと思います。