みんなの探究ライブラリ

探究レポート No.2020

入賞

テーマ 地域問題, 社会問題(SDGs), 自由設定

  • インタビュー

  • 実験

  • 観察

  • スライド

タイトル
高校生の“やってみたい”を詰め込んだ空き家プランニング
設定課題
小豆島に点在する倒壊寸前の危険な空き家を、人が集まる価値のある建物にするにはどうすればよいか。

課題を設定した理由

加速する過疎化や高齢化に伴って、小豆島の空き家の数は増加の一途をたどっている。今にも崩れてきそうな建物が通学路を囲っていたり、観光地の景観を損ねていたりするなど、安全性や衛生面の観点から、地域の人達の生活に深刻な影響を及ぼしている。役場でも解決のための手立てが考えられているが、この現状はなかなか変わっていない。一方で、移住者が空き家をレトロな喫茶店に改装し、人が集まる場所に変えたという事例もある。もし私たち高校生がアイデアを出すことで、空き家を人の集まる場所に変えられたなら、ネガティブなイメージをもつ空き家が、地域活性の可能性を感じさせるものになるのではないかと考え、この課題を設定した。

アピールポイント

建築に興味があったり、地域の現状を変えていきたいという強い意志があったり、そんな高校生が集まって想いと理想を詰め込んだ、空き家の改装プランを提案していきます。しかもこれは、ただの机上の空論ではありません。地域に点在する空き家に実際に足を運び、リノベーションされた建造物を見学し、専門家の意見も踏まえ、利用者の立場に立って考案した、現実になり得る私たちの理想の改装プランです。ターゲットを若者に絞って考えたこのプランは、若者が集まる場所として地域を活気づけることができます。発泡スチロールを使って、20分の1スケールの模型に再現しました。地域に提案し、実現を目指すこの改装プランに注目ください!

研究方法

現在の空き家がどのような状況にあるのかを把握するため、地域の空き家を見学して回った。現在、小豆島には約4000の空き家があり、そのうち空き家バンクには約100件が登録されている。それらの空き家から構造や立地が異なるものを抽出し、見学を行った【調査1】。その後、空き家を改修し価値化を目指すプロジェクトを進める団体を訪ね、取材と、改修された空き家の見学を行った【調査2】。これらの情報を踏まえ、自分たちの理想とする空き家のプランニングを行った。取り入れたい設備や仕掛けに関する資料を集めるとともに、理想の形を具体化するため図面を引き、建築模型の制作を行った【調査3】。

結果

【調査1】小豆島の空き家は古く、その間取りや日当たりが現代のニーズに合っていないことに加え、家の密集や細い路地により重機が入れず、大掛かりな改装が困難であることが分かった。
【調査2】空き家の改装で重要なのは、元の構造や家具を活かすことであり、利用の目的に合わせた空間のコーディネートを緻密に行う必要がある。また、限られたスペースをいかに広く見せるかも重要であることが分かった。
【調査3】部屋の用途に合わせた着色事例や、台所を売店として扱った事例を参考にして建築模型の制作を進めることができた。模型により視覚的に捉えることができ、人の実際の動きをイメージしたプランへの立て直しができた。

課題に対する答え

空き家の改装で重要なのは、元の空き家の構造や立地、置かれている家具を活用した改装であることだ。改装の対象となる空き家の条件と、改装目的を照らし合わせたプランニングができれば、改装費用の削減や安全性の担保ができる見通しである。また、集会やイベントの会場として改装された空き家も少なからずあり、そこでは多くの人が賑わいを見せている。そういった空き家の改装は、空き家の数を減らすだけでなく、地域の活性化にもつながっていた。人が集まるというだけでなく、若者が集まる場所として提案している私たちのプランは、過疎化という空き家の原因を解消し、空き家問題を根本から解決する一手になると考えられる。