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今現在シャトルランに使われている音階は長音階(ドレミファソラシド)だが、果たしてそれがシャトルランにとって最適な音階なのか疑問に思ったため。シャトルランの音楽は無機質なビブラフォン(もしくはグロッケンシュピール)の音色で構成されている。簡単に言うと鉄琴だ。シャトルランを恐れる人々の中には、その無機質さが苦手だという人も決して少なくない。現にシャトルランの音楽が一種のトラウマになっている人も多い。そこで私は、もっとリラックスしてシャトルランができる音楽を採用すれば、今の社会に生きる学生たちが辛い思いもせずリラックスして走れるのではないかと思った。そしてそれが記録の向上にも繋がるだろう。
シャトルランについての研究といえば、もっぱら走り方や体力の保ち方などが中心になると思われるが、逆に私はシャトルラン中に流れる音楽に着目した。シャトルランといえば無論スポーツの一種であるが、そこに音楽が関わってくるのは他のスポーツにない部分だろう。そこに着目した探究だということがまず特筆すべき点だと思う。私自身、音楽への造詣が深いために音楽理論的な目線からの意見を出すことができ、なおかつ噛み砕いて説明することによって誰にでも理解できるよう工夫を凝らしている。そして世界の様々な音階なども関わってくるため、ある意味グローバリズムにも触れたテーマとも言える。
近所の体育館を借り、募った数人の有志と共に、音階を変えて何度も走る対照実験を行った。続けて行ったら疲労が記録に影響を及ぼして条件が揃わなくなってしまうため、一度走った人が次に走るのはその日の午後や次の日にした。10種類もの音階を試したが、その人自身の体力を考慮して、全員が10回ずつ走るわけではなく全員が最低でも2種類走ることで相対的に音階が与える影響を求めた。体力が人一倍ある人の場合、Aの音階で走った場合の記録とBの音階で走った場合の記録はどちらも他の人より大きかったが、その人だけに着目するとAの音階で走った場合の記録の方が大きかったため、Aの音階の方がシャトルランに向いているとみなす。
最も記録が伸びたのはヨナ抜き音階(日本音楽や童謡に多く使われるもの)であり、最も記録が伸びなかったのはマカーム音階(中近東で多く使われるもの)だった。元々シャトルランに使われている長音階(ドレミファソラシド)も、3番目に記録が伸びた。ちなみに2番目はドリアンスケール(ファンタジー風の音階)だった。全体的に明るい印象の音階は記録が伸び、暗い印象の音階は記録が伸びづらい傾向にあったが、いくつか例外もあった。たとえば旋律的短音階(クラシック音楽らしい音階)の場合、かなり暗い響きがしていても記録は割と良い方だった。これはクラシック音楽同様、哀愁のある響きで逆にリラックスできるのだと推測できる。
明るい印象の音階は記録が伸びやすいという結果が出たが、今回記録1位となったヨナ抜き音階は日本や東アジアに馴染み深い音階であるため、全世界の人間がこの音階によって記録が伸びるとは言い切れない。実際、雅楽に使われる和音などはヨーロッパの人が聴いたらただの雑音にしか聞こえないことが多いそうだ。逆に今回、最も記録が伸びなかったマカーム音階も、中近東出身の人間がその音階でシャトルランをしたら一番記録が伸びるのかもしれない。よって、記録が最も伸びるヨナ抜き音階よりも、全世界のどんな人間でも均等に記録が出る長音階が最もシャトルランに適しているのだと考えた。