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探究レポート No.2147

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タイトル
ブラックジョークの道徳的正当化とユーモア理論からサティリカルコメディを分析する
設定課題
人々はなぜ悪気を持ち、不謹慎だとわかっていてもタブーとされる言葉で笑い合おうとするのか?

課題を設定した理由

いじめはいつもする側が多数になりがちだという思いつきから、悪意を含む言葉は人を繋げる働きを密かに持っているのではないかと考えた。これを解決すれば、現在人々が共有している笑いのコンテクストに関して知見を得られると共に、その言葉が乗せられる雰囲気や意図する流れによって人々を繋げられる言葉に変わるのだと明晰化でき、集団行動やチームにおいて良い方向へ活用しうるだろうと考察している。

アピールポイント

この研究では、ブラックジョークの道徳的正当化とユーモア理論を統合し考察、サティリカルコメディが社会批評として機能する仕組みを明らかにする点にオリジナリティを見出した。今世の中に広まっているタブーや不快要素を含む言葉が、あるところからは組織の団結の合言葉へと変化するだろうと仮説を立て、その境界線を探し出し、構造を分析することで、表現における倫理観について重要な知見を得られると考えているのである。

研究方法

各国のテレビ番組やコメディ、マンガ、SNS、文献などからブラックジョークやそれについて述べた実例を収集し、文化ごとの差異を比較する。また、日本の浮世絵や欧米の風刺画といった歴史的資料を通して、ダークユーモアが民衆の意見表出として果たしてきた役割を検証する。理論面では、不適切理論・緊張解放理論・優越理論などのユーモア理論を適用し、「不謹慎」と「笑い」の関係を整理するとともに、社会心理学的視点から攻撃的ユーモアがコミュニティ形成や親密性に与える影響を見出そうとした。

結果

日本・シンガポール・欧米におけるダークユーモアの受容と文化的背景を比較したものについては、各地域で語の含意やタブー範囲が異なっていたが、日本は場面依存的、シンガポールは規制が強く、欧米は自由度が高いと結論付けられた。SNSの影響で日本でも欧米的コンテクストが浸透しつつある。親密関係での攻撃的ユーモアの機能や、歴史的風刺が民意表出に果たした役割が確かに確認でき、ユーモア理論からブラックジョークについての共通構造が明らかになった。

課題に対する答え

人々が不謹慎と知りつつタブーに触れて笑うのは、緊張や不安を一時的に解放し、共有することで親密さや連帯感を確認できるからである。また、タブーを越える行為自体が刺激となり、日常の規範からの小さな逸脱が快感を生む。さらに文化や関係性によっては、信頼を前提とした相互の暗黙的な了解下に「越えてよい境界」が存在し、それを共有することが関係の強化として機能するためでもある。