授業時間や内容が40年ぶりに増加 |
新学習指導要領(以下、新課程)がもたらす変化の中でももっともわかりやすいのが授業時間数です。総授業時間数は小学校で約5%、中学校で約4%増えることになります。
これまでは、ゆとりある教育を目指して、授業時間数も学習内容も次第に減らしてきていましたから、授業時間数が増えるのは、じつに40年ぶりのことです。
教科別にみてみると、小学校では総合的な学習の時間が大きく減ったり、中学校では選択をなくすなどして、それ以外の教科が増えていることがわかります。 |
「つめこみ」に戻るのではなく、「生きる力」をさらに育てるための活動に |
授業時間数が増えるというと、「ゆとり教育から、以前のつめこみ教育へと戻るのでは?」と思われる方もいるでしょう。しかし、そうではありません。
学習内容も増えていますが、それもふまえて、知識を定着させるための反復学習などに力を入れるとされています。また、知識だけでなく、それを生活に役立てる「生きる力」を養うという方向には変わりなく、増やした授業時間数は、学んだ知識を実生活で活用できる力を育てる学習活動にも生かされます。 |
学んだことを生活に役立てるため、各教科で「言語の力」を育成 |
「生きる力」を育むうえで大切な力とされているのが「言語の力」です。
言葉は、生活する中でものを考えたり、コミュニケーションをとる基礎となる力です。言葉の力があってこそ、学んだことを生活に役立てられます。
そこで、小学校の低学年では、国語の授業数が大きく増えているほか、言葉の力を育てるために、各教科でレポートを作成して、起こったことをきちんと文章化したり、言葉で説明をしたりといった活動が取り入れられることになります。そのほか、思考力や判断力を養う活動も重視されています。 |
特に大きく変わるのは算数・数学と理科 |
教科の中でも特に大きく変わるのが、算数・数学と理科です。
ともに授業時間数が大きく増えているほか(右上図参照)、きちんと理解し、身につけられるよう、学習する内容や順番、方法を学年を超えた視点から考えて、大きく見直しています。
科学技術の世界的な競争が激しくなるなか、理数教育の充実が必要とされていることなどが理由です。 |
小学校高学年から外国語活動 |
小学校高学年から外国語活動が取り入れられることも大きな変化の一つです。
現在、各小学校では総合的な学習の時間で英語に関する取り組みを行っているところも多いですが、学校によって内容にばらつきがあることが問題になっていました。
中学校での英語教育にスムーズにつなげ、国際感覚の素地を養うなどのねらいから、週1コマ程度、小学校5年から正式に取り入れられることになりました。 |
総合的な学習の時間は減少 |
全体的に授業時間数が増える中で、総合的な学習の時間は減少しました。
しかし、総合的な学習の時間で行っている体験的な学習や課題解決的な学習の一部は、これまで解説したように各教科での学習の中に取り入れられることになっています。
総合的な学習の時間では、さまざまな教科にまたがったテーマなどについて、まさしく総合的に学習し、探求する力を深めていきます。 |