2019.5.28
SDGsで高校生をつなぐ全国プロジェクト始動。率直な疑問から生まれる社会意識とは
全国の高校では今、SDGsへの取り組みが広がり、自分なりに社会とどう関わるかに向き合う生徒が増えています。そんな活動を支援しようと始まったのが、岡山大学主宰・ベネッセコーポレーション協力による「SDGsユースプロジェクト」です。4月17日に開催されたイベントに参加した高校生の、意欲あふれる様子をご紹介します。
※SDGs(エス・ディー・ジーズ)とは、国連のSustainable Development Goals「持続可能な開発目標」のこと。17の目標(SDG)から成る。→「サステナブルとは」
世界の社会課題に向き合う全国の高校生をつなぐプロジェクト
SDGsは今、高校の教育活動にも取り入れられています。SDGs部を立ち上げたり、授業で話し合ったりして、世界視野で課題に向き合う高校生が増えているのです。
そうした動きを支援するのが「SDGsユースプロジェクト」です。SDGsに関わる様々な情報を届けるとともに、全国の高校生をネットワーク化し、活動の発展に結びつけてもらうことを目的に、オンラインセミナーを中心に活動します。
そのキックオフイベントを2019年4月17日、岡山大学の東京オフィス(東京都港区)で開催。「SDG16 平和と公正をすべての人に」をテーマに、都内の5つの高校(郁文館高校、郁文館グローバル高校、かえつ有明高校、豊島岡女子学園高校、広尾学園高校)から34名の高校生が集まりました。
トークゲストは、社会活動家の森下雄一郎さん。アメリカでプロバスケットボール選手として活動し、引退後は日本や世界を回り、平和社会の実現・地方活性化などに向けた活動をするなかで様々な課題に直面したこと・仲間が生まれたことを語りました。参加者はリアルな体験談に聞き入り、「自分だったら…」と考える様子がうかがわれました。
すべての人が平和になれる? 疑問をまっすぐにぶつける高校生たち
トークの後は、異なる学校のメンバーと語り合うディスカッションタイム。初対面でも、ともにSDGsに取り組む仲間としてすぐに打ち解け、気づいたことや考えたことを出し合います。
「世界中に友だちをつくるって、シンプルだけどすごい。もし過ちを犯しそうになったとしても、友だちの顔が頭によぎると思う。」
「違いを受け入れ、認め合うことが大切といっても、日本だとそこまで違う文化と触れ合う機会が少ないよね…。」
続いての森下さんへの質問タイムでは、率直な問題意識が投げかけられます。
高校生 「みんなが平和になるなんてありえないのでは?」
森下さん「そうかもしれない。でも、私が出会った人たちは、人種や宗教の違いがあっても友だちになれたんだよね。それは違いを認め合うことができたからで、平和の側面の1つじゃないかな。これを広げる活動を続けていきたいんだよね。」
高校生 「森下さんが考える平和な社会の定義とは?」
森下さん「自分の大切な人、例えば家族や友だちがしんどそうだったら、自分もしんどくない? みんなが笑顔だったら自分も楽しい。そういう社会かな。」
高校生と、豊かな体験を持つ大人の真摯に向き合うワークショップが、最後まで繰り広げられました。
未来を担う高校生たち。広い視野でともに社会意識を育む環境づくりを!
会を終えてのアンケートには、「当事者になろうとする行動力を見習いたい」「自分の経験からすべてを語っているところが心に響いた」「本当にわかるには、自分で体験しないといけないことを改めて理解できた」など、社会に向き合う姿勢への気づきが数多く見られました。
プロジェクトを推進したベネッセコーポレーション・小村俊平は、「複数の学校の高校生が集まり、社会人ゲストと対話する場は、高校生・社会人の双方にとって大きな刺激となります。高校生にとっては、普段通っている学校にはない学びが得られる「メタ学校」と呼べるかもしれません。また、企業人や研究者にとっては、中長期的な視点で実践や研究の意味を考え直す機会になります。SDGsを切り口として、様々な人が対話し、学び合う場を全国に広げていきたいと思います。」
ベネッセはこれからも、様々な連携を試みながら、高校生や学校のSDGsへの取り組みを支援していきます。
情報協力
小村俊平(こむら しゅんぺい)
ベネッセコーポレーション 学校カンパニー教育イノベーション課に所属し、岡山大学の学長特別補佐も務める。
本プロジェクトは、「知を探究して新たな知を創造する研究」「新たな考えを創り、活用する人材を育て、知を継承する教育」「研究と教育で得られた知を社会に実装する社会貢献」によってSDGs達成を推進する岡山大学と、学校の教育支援を行うベネッセコーポレーションによる連携で生まれた。