新型コロナウイルス感染症対策によって発生した、幼稚園・保育園等の相次ぐ休園。「どうすれば?」という不安を抱える保護者に対し、<こどもちゃれんじ>が開設したのは子どもの生活リズムを守り、学ぶ意欲を引き出す無料の「オンライン幼稚園」。緊急事態宣言の解除後も、日常生活が大きく変化をする中で、親子の生活に寄り添った学びを提供し続ける<こどもちゃれんじ>の取り組みをご紹介します。

誰もが想像しなかった社会の変化に対応。制作期間1週間で開設した、「オンライン幼稚園」。

1988年の誕生以来、幼児期の発達段階に合わせたさまざまな学び体験を提供してきた<こどもちゃれんじ>。現在では通信講座に加え、コンサート、映画、幼児向け教育番組の放映等を行い、日本のほか中国・台湾・韓国でも通信講座を展開。会員数は国内外で200万人以上にのぼります。その<こどもちゃれんじ>が、幼稚園や保育園等の休園が続々と決まり、外出自粛も進む中で、2020年3月18日に開設したのが「オンライン幼稚園」でした。

<こどもちゃれんじ>としても初の試みを、施策の実施決定からわずか1週間で公開という、短い制作期間で立ち上げた担当の山田 麗央那(やまだ れおな/<こどもちゃれんじ>編集)に、当時の経緯を聞いてみました。

「誰もが想像しなかった社会の変化に、わたしたちがまずスピード感をもって対応しなければならない。今こそ、おうちのかたや子どもたちに寄り添うサポートで力になりたい、という思いが一番にありました」
この時、親子で急に長い時間を家の中で過ごすようになったことで、<こどもちゃれんじ>の窓口には、お子さまの運動不足や生活リズムの乱れなど、“自宅での過ごし方”についての不安の声が多く寄せられていました。

「悩まれているおうちのかたに対し、自宅でも園にいるような生活が送れたり、運動不足をサポートしたり、生活リズムをととのえる幼稚園をオンラインで作ってみよう!ということがすぐに決まりました。通常は企画検討から調査を何度も重ね、内容を決定して制作に入る、という過程を踏みますが、不安を抱えるおうちのかたに少しでも早く応えるため、友人や周囲の親子にヒアリングをしながら、同時並行で内容を考え、ただちに制作をスタートしました」
コンテンツの検討にあたっては、自身が学生時代に幼稚園教諭の免許を取り、実際に園で教育実習をした経験も役に立ったそう。
「普段、幼稚園で子どもたちが1日をどのように過ごし、保育者・先生と関わっているかを洗い出し、それをオンライン上でどう組み立てたらよいか、を考えてコンテンツの企画を立てました」

「オンライン幼稚園」の時間割。1日の流れに合わせて「あいさつ」「うた・ダンス」「読み聞かせ」「知育」「歯磨き」などのテーマでコンテンツを配信。園での生活を意識しながら、先生が画面越しの子どもたちに呼びかけるシーンなども新たに撮影された。

限られた時間で、子どもたちによいものを届ける。専門家・制作スタッフ一丸となって「オンライン幼稚園」を作り上げた。

短い制作時間で開設ができた背景には、<こどもちゃれんじ>が蓄積してきた知見のほか、さまざまな関係者が一丸となった制作体制がありました。

「緊急招集された制作メンバーの社員は、はじめは二人のみ。それでも開設ができたのは、企画にすぐ賛同し、とことん伴走をしてくださった専門家の監修の先生、映像制作会社スタッフみなさま、困ったら相談にのってくれてすぐに力を貸して下さる周囲の先輩たちの存在が大きくありました。“どんなに時間がかかってもいい、撮影にたちあいます(専門家の監修の先生)”、“自分にも子どもがいるので、一緒にがんばりたい(映像制作会社スタッフ)”などの声にはげまされながら、<こどもちゃれんじ>らしい学びのあるコンテンツをみんなで作り上げ、「オンライン幼稚園」を世の中に送り出すことができました」

「オンライン幼稚園」の制作風景の一コマ。制作の現場でもスタッフ同士の密を避けながら、リモートでの制作や撮影が実施された。

変化する親子の生活にあわせて、お届けする学びや手法を進化させていきたい

開設後、SNSなどで話題になった「オンライン幼稚園」の利用者は急速に拡大。当初2週間限定としていた開設期間を延長しながら、その時々の声にあわせた改訂が重ねられました。

「利用いただいたかたから、“リモートワーク中に「オンライン幼稚園」を子どもに見せる間は、安心して仕事ができて本当に助かった!”という声や、“子どもが映像を見ながら体を動かしてくれるのがうれしい”、“親子で一緒に体験する中で、子どもの成長に気づくことができた”などの声を多くいただき、非常にうれしく感じていました。一方で、国内向けのサービスとしてスタートしたのですが、SNSなどで「オンライン幼稚園」のことを知った海外のおうちのかたから、“(時差のため)うちの子に見せたいが時間が合わない”というお問い合せや要望が寄せられるようになりました。そこで、配信映像をアーカイブし、翌日まで見られるようにするなどの対応をしていきました」

その後も、 “もっとたくさんの映像が見たい”という声にこたえてコンテンツの種類を拡充するなど対応を重ね、開設1か月後には海外90カ国以上に利用が拡大、「オンライン幼稚園」の利用者は最終的に70万人もの規模となりました。

「オンライン幼稚園」を楽しむ子どもたちの様子。

緊急事態宣言の解除後、「オンライン幼稚園」は一度サービスを終了。2020年6月からはサマースクールとしてリニューアルされ、新しいコンテンツが提供されています。

「オンライン幼稚園」の開設から4か月が経過。今は担当を離れ、<こどもちゃれんじ>の新しい商品やサービスを担当している、という山田に今の思いを聞いてみました。

「今回の「オンライン幼稚園」を通して、オンラインの力や可能性を強く感じることができました。これから、世の中のオンライン化は加速していき、在宅勤務・テレワークが進んで保護者のかたの働き方や、学びへのニーズも変わっていくと思います。その中で、<こどもちゃれんじ>はどう進化していくか、ということを、今みんなで話をしています。これまで培ってきた、教材のコアの価値は受け継ぎながらも、オンラインと組み合わせた新しい手法と融合していくなど、社会の変化に合わせて、届ける学びの形も変えていく。これからも、親子の生活に寄り添って、その時々の最適な学びを提供し続けていきたいと考えています」
これからも、<こどもちゃれんじ>の取り組みは続いていきます。

情報協力

山田 麗央那

山田 麗央那
株式会社ベネッセコーポレーション
グローバルこどもちゃれんじ日本本部
ナーサリー事業部 ぷち商品課
新卒入社で、幼児向け通信教育サービス<こどもちゃれんじ>の商品開発部に配属。
入社して4年間、プレスクール(4・5・6歳児)向けの商品開発に携わり、現在は1・2歳児向けの主に映像教材や絵本の編集担当をしている。

・オンライン幼稚園
https://www2.shimajiro.co.jp/kodomo/online/
・こどもちゃれんじ
https://www2.shimajiro.co.jp/index.html