昨年度、新型コロナウイルスの流行により、コンテストや大会が軒並み中止となっている昨今の状況を踏まえ、「高校生の取り組みを少しでも披露できる場を作りたい」との想いから全国の『探究ナビ』採用校を対象に「全国探究コンテスト2020」を開催いたしました。エントリー作品の一覧は「みんなの探究ライブラリ」でもご紹介しています。2022年3月6日(日)開催の「全国探究コンテスト2021」の詳細はこちらをご覧ください。
兵庫県立 長田高等学校
中山千尋さん/小原由莉さん
審査員長黒上 晴夫
「問題がない所から問題を発見する」ということが実はものすごく難しい。通常多いのは「商店街が衰退しているので、他所のように活性化させるにはどうするか?」といった課題だが、この探究は「ベクトルが逆」で、自分たちの高校周辺の商店街の良い要素を一般化して展開しようとするアプローチがおもしろいと感じた。商店街を座標軸を使って分析したり、パン屋の有無の指標を持ってくる点など、オリジナリティのある視点+しっかりとデータも用いた考察ができており高く評価できる探究でした。
審査員長
関西大学
総合情報学部 教授
専門は、カリキュラム、教育評価、ICT活用。中教審初等中等教育分科会教育課程部会「生活・総合的な学習の時間WG委員」として指導要領改訂に重要な役割を担った。
審査員
特定非営利活動法人
TABLE FOR TWO
前代表理事
世界の肥満と飢餓の解決をめざすNPO法人TABLE FOR TWOの創業メンバー、前代表理事。慶應義塾大学大学院にて非営利組織のマネジメント研究を行う。
審査員
東京理科大学
理学部物理学科 教授
専門は物理教育・サイエンス・コミュニケーション。高校物理教師を約20年間務め、東京理科大学理学部第一部物理学科助教授・准教授を経て2008年4月より現職。
審査員
映画「ビリギャル」
主人公モデル
現在は、講演、学生・保護者向けイベントの企画運営など、幅広い分野で活動。また教育学の研究のため大学院に通いながら、アメリカ留学に向け猛勉強中。
審査員
國學院大學
人間開発学部 教授
文部科学省教科調査官、視学官として指導要領改訂を推進したキーパーソンであり、新指導要領実施のカギとなる「主体的・対話的で深い学び」を実現する教育実践について教育現場に伝える活動を行う。
ゲストスピーカー
認定NPO法人 ReBit
代表理事
大学在学時にReBit設立。行./../../企業等でLGBTやダイバーシティ研修実施、キャリア支援、国内最大級のダイバーシティ・キャリアフォーラム開催を行う。
ゲストスピーカー
認定NPO法人 ReBit代表理事
「ちがいをもつすべての子どもがありのままであれる社会の実現のためにできること」と題して、これまでNPO団体として継続してこられた支援活動を「探究」の視点からご講演いただきました。団体名(ReBit)にも込められた「少しずつを、何度でも繰り返すことで、社会が前進してほしい」という理念のもと、地道な活動の輪の広がりが、社会を動かしていくことを実感できる素晴らしいお話でした。
「当たり前は当たり前でない」という言葉は現状に感謝するという意味で捉えていたが、今回の講演を受けてこの言葉に「多様性」の意味が加わり、今後の生活で大切にしたい観点になりました。
(兵庫県 高校1年生)
審査は、探究のプロセスに沿い、問題を発見する力、調査する力、分析する力、主張する力、課題を新たに設定する力の5つの観点を用意しているほかに、生徒が主体的に問いを持ち、自ら探究プロセスを回して答えを導き出していく問題発見・解決力から評価されました。
東京都 千代田区立九段中等教育学校
望月愛耶さん
審査員藥師実芳
障害をもっている人と「接する環境づくりを自ら進める」という実践力に加え、活動をする中で「問い」をどんどん深めていく取り組みが、探究の理想的なプロセスとして評価が集まりました。
障害の有無を二項対立にせず、誰もが違いがあることを前提に共生社会をいかにつくって行くかに問いを深めるとさらなる広がりが期待できると思いました。
栃木県 宇都宮文星女子高等学校
高橋夢果さん/伊澤沙恵さん/野尻姫名さん/渡邉愛梨さん
審査員田村学
「教師の行動を対象」に探究していることは、とても興味深いと感じました。その上で、教える側だけでなく「学び手の有り様」の視点からもしっかりと考えられており、目指す授業を教え手と学び手で創り上げていくアプローチがすばらしかったです。
時間とお金という問いから、教師と生徒の理想的な在り方にまで視野を広げられていたので、さらに教師の多忙化という社会課題の探究にもつなげられるのではと思いました。
東京都 千代田区立九段中等教育学校
山本帆乃花さん
審査員安東迪子
「明確な問題意識」のもと、専門家の方々にヒアリングを行い、それぞれの課題感までしっかりと認識した上で、実際に先生にもアドバイスをもらい授業も実践しているという一連の取り組みがすばらしかったです。
文献調査を徹底されていたので、さらに現代の日本教育の背景なども調査すると日本が目指す教育と受け手のギャップなど新たな考察が深まるのではと思いました。
京都府 京都産業大学附属中学校・高等学校
谷垣芭奈さん
審査員黒上晴夫
集中力と音楽には関係があるかの問いから、アンケートを実施、仮説を立てて実験、ページ数で効果の比較から結論を導く「プロセスがとても明確」で、しっかりと「構造化された探究」ができておりすばらしかったです。
明確な結論に導けているだけに、「明るい曲」をより具体的に定義できるとさらに科学的な調査としての精度が一段上がると思いました。
神奈川県 中央大学附属横浜中学校・高等学校
高橋諒さん/関根悠真さん/佃慎太郎さん
審査員川村康文
自分たちが参加したワークショップでの学びを出発点に、「自分たちなりに」摩擦力が大きくなる材質についてさらに研究を深めていった点がすばらしいと評価できます。さらに文献や専門家の助言をもらう機会も上手く活用しながら、精度を高められた取り組みでした。
今回のようにしっかり1つの特性に特化した研究の延長として、他の特性とクロスで考えていくとさらに実用化につながる可能性を秘めていると思いました。
神奈川県 桐蔭学園中学校・高等学校
能願結さん
審査員安東迪子
全世代が快適に使える公園にするというコンセプトは、地域住民を主役とした考えで素敵でした。探究の進め方・プレゼンの構成も論理的な流れにできていて非常に分かりやすかったです。「世代ごとに必要なものを揃えて区分けすべし」という主張も、納得感のある結論として導けていました。
実際に足を運んで調査されていたので、1日の来訪人数など定量的なデータも元に分析できると、さらに説得力を持ちあわせた探究になると思いました。
神奈川県 桐蔭学園中学校・高等学校
森田智大さん
審査員小林さやか
私も大学院で学習科学について学んでいたのですが、「高校生自身が」「実践者の視点で」このテーマを扱うことの重要性を感じる大変すばらしい探究でした。
アクティブラーニングが重要である一方で、「型」を重視しすぎることによる課題感もあり、実践方法の可能性をさらに広げることも今後期待できる作品でした。
神奈川県 桐蔭学園中学校・高等学校
鈴木美那さん
審査員黒上晴夫
「映画とは何か」という問いを掘り下げてみた上で、それで終わらずにアンケート調査につなげ、その結果新たな価値を見出しています。「ちょっとした身近な疑問」から調査につなげて思考を広げて深めていく流れの、好例であると評価できます。
探究において大切な「自分ごとの課題にすること」と「熱意」がとても感じられた半面、調査においてはより中立的な立場から項目設定がされると客観性が増してさらによいと思いました。
愛媛県立 松山南高等学校
白石桜さん/継枝咲良さん/大西黎さん/松浦瑠音さん
審査員小林さやか
数字的な調査がしっかりした基盤となっていて、とても素晴らしかったです。各地域の現状(メリット・デメリット)が把握できているからこそ、本当に実現可能性の高そうな魅力的な対策が提示されていて、とても感心しました。
複数観点で分析をできていた分、たくさんの情報の中からフォーカスすべきものを選定して結論に導く流れができると、さらに説得力を増す伸びしろがあると思いました。
「日々の自宅学習」というどの高校生にとっても身近なテーマを題材に、「集中力と効果的な音楽」という切り口で多くの人が実践したいと思えるような説得力のある結論に導けている点に共感が集まりました。まさに「みんなが選ぶオーディエンス賞」にふさわしい作品でした。
審査員特別賞とのダブル受賞もおめでとうございます!
そのほか、本コンテストに
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