Benesse 「よく生きる」

EPISODE 人と社会の
「Benesse(よく生きる)」
をめざして

「ミライシード」を通して
支えたい。教育のDXを担う
全国の先生の現場力
学校教育社会課題未来の学び

ベネッセコーポレーション 小中学校事業部ミライシード活用支援課 岡部優

2019年に文部科学省が打ち出したGIGAスクール構想(*)は、1人1台の端末とICT環境の整備で、子ども一人ひとりに適したより深い学びの実現をめざしています。今やほとんどの公立小中学校の児童・生徒にタブレット端末が行き渡っていますが、授業のデジタル化にとまどう先生も少なくありません。その実態を目の当たりにし、先生と一緒に新しい授業づくりを目指そうと取り組むのが、ベネッセコーポレーションの学習支援ソフト「ミライシード」です。活用促進責任者の岡部優に話を聞きました。

コロナ禍で加速した授業のデジタル化。
とまどう学校現場を支援するには…

まず「ミライシード」の特徴を教えてください。
岡部
タブレットを使う授業で活用する、ドリルや協働学習ツールなどを搭載した学習支援ソフトです。単機能に特化したソフトは他にもありますが、学校現場で必要とされる複数の機能がひとつにまとまっている点が評価されているようです。
授業のデジタル化が進むに伴い、「ミライシード」の活用も広がっているようですね。
岡部
2014年からご提供していますが、GIGAスクール構想による学校教育のDX(デジタルトランスフォーメーション)で関心が高まり、全国約8000校(2022年4月時点)の小中学校に導入いただいています。

ただ、「自分が使うシーンがイメージできない。授業でデジタルを使う自信がない」という先生もいらっしゃいます。しかし、デジタル化が停滞すると子どもたちの学びの機会が失われます。全国の公立小中学生の約3人に1人が「ミライシード」を利用できる環境にありますから、マーケティングやプロダクトのチーム、そして私たち活用促進チームで連携し、教育の会社として果たすべき責任と役割を考え続けています。
活用の活性化のために、具体的にどんな取り組みをしていますか。
岡部
「ミライシード」のコンセプトに共感し効果的に使ってくださっている先生に参加いただくコミュニティ活動や、全国約900人のICTサポーターが学校を訪問してお手伝いするなど行っています。それに加えて、実際の授業での活用事例を中心に情報を集約・発信する場として、Webでの「ファンサイト」を運営しています。

現場で役立つのは実際にやってみた事例。
さまざまなヒントを可視化し、共有する

ミライシード ファンサイト」より。全国の先生が実践した活用事例が順次公開されていく。
情報発信で大事にしているのは、どんな点ですか。
岡部
先生がやりたいと思い描いておられる授業像を「ミライシード」の機能を使って実現しましょうと、目的と手段の関係性をお伝えするようにしています。そうすると、使うことが目的化されず、シンプルに「使ってみよう」となります。

例えば、先生の投げかけに対していつも特定の児童・生徒が手を挙げて発言し、全員の考えを聞くことができないという悩みは、多くの先生から聞きます。「ミライシード」を活用すれば、まずは個人で考えて、その考えを全体で共有して「全員参加」の授業ができます。どう操作すればそれが実現するかをお伝えすることで先生の課題解決につながり、子どもたち一人ひとりのより深い学びにもつながっていきます。
「ファンサイト」には、そういう具体例が数多く掲載されていますね。どうやって収集していますか。
岡部
先生とのコミュニティ活動やICTサポーターを通して、学校でどのように活用されているかの情報を収集します。取材をして記事にしますが、ご依頼する先生方は自分のやり方が役に立つならと、快く協力してくださいます。また一部の事例はウェブセミナー形式で実践者に出ていただき、自らお話しいただくこともあります。

この8月には、「夏の事例大共有会」を開催しました。先生も比較的時間が取りやすい時期なので、10人の登壇者が次々に自分の事例を紹介するイベント形式にし、計6時間の長丁場にもかかわらず全国から約1200人のライブ参加をいただきました。

実際のリアルな話は自分事としてイメージしやすく、役立つヒントがいろいろと詰まっています。可視化して共有することの意義は、そこにあります。

全国の先生が地域を超えて、世代を超えて
つながる場になれたら

コミュニケーションを通して、先生方の取り組みに変化を感じることはありますか。
岡部
先生のニーズが、「使うイメージがわかない」から「もっと効果的に使いたい」に変わってきました。教育に対する思いや、もっとよい授業をしたいという熱意にあふれた先生が多いんです。孤軍奮闘の方もおられ、同じ志で取り組む仲間とつながりたいという思いも強いようです。

たとえば「ファンサイト」で知り合った先生たちが学校を訪問しあい、研究授業の指導助言や校内研修の講師を務めるケースが出てきました。私たちが介在しなくても、自治体を超えて全国に点在する知見がつながる。そういった関係性ができつつあるのは、とてもうれしいことです。

また参加者は、新しいことを取り入れながら自分の手法を磨いていきたいという中堅からベテランの先生が多いのですが、指導スタイルの定まっていない若手の先生にとっては刺激になると思います。時代に沿って指導法を伝承していく、そんな役割も担えたらいいですね。

子どもたちにどんな力を身につけてもらうか。
先生と一緒に考え、学校での学びを進化させていく

岡部
授業のデジタル化という大きな課題に、先生とともに向き合うことで、私たち社員の意識も変わってきたように思います。「ミライシード」への要望などから先生のリアルな困り事を知り、それに応えるなかで、以前なら「〇〇市の状況は…」と語っていたのが今は「〇〇市の〇〇先生の場合は・・・」と、より現場に近い話が出るようになりました。プロダクトの改善をはじめ、一緒に課題を解決しようという思いがより強くなったと実感しています。
先生と子どもたちにとってのよりよいデジタル学習のために、これからめざすところは?
岡部
ベネッセが提供できるのは、授業のツールです。それを先生が最大限に活用できるよう支援することと、先生ご自身がもっと成長したいと思うときに、一歩踏み出す勇気を後押しできる存在になれたらと思います。

そうすることが、子どもたちの学びを深化させ、未来に向かう力をつけることにつながります。先生方に教えを請いながら一緒に探求を続け、日本の学校教育により貢献していきたい。それはこの先もずっと変わらない、私たちの目標です。
岡部 優(Yu OKABE)
「進研ゼミ小学講座」のマーケティング担当を経て、2015年より地方自治体の教育施策支援を担当。これまで100自治体以上の教育委員会とともに教育施策を推進。現在は小中学校の教育DX推進に向け、カスタマーサクセスチームのチームリーダーを務める。

撮影:デザインオフィス・キャン(2022年9月取材) ※ご紹介した情報、プロフィールは取材当時のものです。

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