Benesse 「よく生きる」

EPISODE 人と社会の
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大学合格から入学までをどう過ごす?「学習意欲×学習力」を身につける進研アドの入学前教育
高校生大学受験社会課題学校教育大学生

株式会社進研アド(ベネッセグループ) 教育事業部
入学前教育教材開発推進リーダー 伊藤優美(左)、
フィールドセールスリーダー 岩本野亜(右)

大学合格から入学までの期間を活用する「入学前教育」は、入学予定者が大学での学修開始時に必要な力を身につけるためのプログラムです。学校推薦型選抜や総合型選抜で早いうちに入学確定する高校生が増える傾向にあり、各大学はそれぞれにプログラム内容を工夫しています。株式会社進研アド(ベネッセグループ)で大学・短期大学向け/専門学校向けの入学前・導入教育の事業に取り組む担当者に、なぜ今、「入学前教育」が注目されているのか、自社のプログラムの特徴とともに話を聞きました。

入学後に顕在化する入試方式による学力差。
教科力の補強と学習意欲を高めるサポートが必要

「入学前教育」が必要とされる背景を教えてください。
岩本
少子化や「大学全入」時代といわれるなか、私立大学入学者のうち、学校推薦型選抜や総合型選抜といった年内入試による数は約6割にのぼります。そこで課題になっているのが、一般選抜による入学者との学力差です。もちろんすべての学生ではありませんが、年内で進路が決まり、学習意欲が落ちてしまうことで入学後の授業についていけず、苦労する学生たちがいるのです。その状況に対し、学修開始時に求められる学力を身につけておいてもらおうと、「入学前教育」を導入する大学が増えています。
「私立大学 入試方式別入学者比率推移(2015年度~2023年度)」 令和5年度国公私立大学入学者選抜実施状況(文部科学省)を基に、進研アドで作成したグラフ
進研アドで開発した入学前教育プログラムの特徴を教えてください。
岩本
教科を学ぶ「見える学力」のほか、「見えない学力」と呼んでいる「学ぶ意欲」や「学習習慣」などを高める内容を、大学ごとに設計してご提供しています。授業についていけないと、進級できない・中退するといった結果につながることもありますから、モチベーションを上げるという観点は大事にしています。
伊藤
テキストは、高校までに学んできたことと大学で学ぶことがどうつながるのかを、しっかりと理解できる構成にしています。というのも「勉強をやらされている感」をなくすには、「何のために学ぶのか」という目的意識を持つことが大切だと考えているからなんです。
大学・短期大学向けの入学前教育『学問サキドリプログラム』のテキスト。Webコンテンツと併せて学ぶ。
合格で解放感いっぱいの高校生が勉強に向かうのは、なかなか大変そうです。
伊藤
そうなんです。肝心の高校生が取り組みたくなる内容でないと、意味がありません。ここは長年の課題で、2020年度には教材のリニューアルを行い、紙とWebのハイブリッドで学べるようにしました。

しかしそれでも二の足を踏む人が多く、学生の心情を調査してみたところ、大学への期待と漠然とした不安、そして「頭ではわかっているけれど勉強から解放されたい」という複雑な気持ちが入り混じっている姿が浮かび上がりました。

そこで2022年度以降、プログラムには、「これからの学びが楽しみになる」多様な仕掛けを加えました。先輩の本音や失敗談、授業での発表などリアルな大学生をイメージできる内容や、目標が見つかる・再確認ができる『目標設定ワーク』など、大学入学後に向け、入学前のこの時期に学ぶ必要性を「自分ごと」でとらえるためのコンテンツです。
なるほど。「見えない学力」につながるいろいろな試みですね。
伊藤
学生が多様化しており、かつ、やる気の背中を押さねばなりません。「何をすれば勉強したくなるだろう?」と、彼らの心情を想像しながらメンバーと企画検討を重ね、目標や目的のマインドセットになる手法を取り入れました。それによって、プログラム受講後にはこれからの学びに対して前向きな気持ちになれている学生が増えているように感じています。

大切なのは、大学と協力して
「学生たちが学びのスタートラインに立てる」こと

大学側にはどのようなアプローチをしていますか。
伊藤
ご提供するプログラムを通して、入学前に一人ひとりの学習習慣や学力を確認したり、アンケート結果から学生の特性を把握できるので、大学には結果報告や傾向とともにデータ活用のサポートを行っています。

あらかじめ、どういった学生を受け入れているのか、入学前の時点で学生をどこまで成長させたいかなど具体的な話をしっかりお聞きしているので、そこに注力したポイントをご提示しています。

とはいえ、大学ごとにご要望はさまざまです。専門分野や現場の実態に関することは先生方の知見や状況を伺いつつ、「学生たちが大学での学びのスタートラインに立てている」ために協力し合うのが、私たちのプログラムの特徴です。
岩本
一例ですが、「見える学力」と、学習意欲・習慣といった「見えない学力」の効果検証について、大学と共同研究したことがあります。『学問サキドリプログラム』を受けた人と受けていない人で同じテストを実施して点数化し、どういった違いがあるかの検証を行い、変化を可視化したのです。結果として明らかな差が見られ、『学問サキドリプログラム』受講による「見える学力」・「見えない学力」の向上といった効果を確認することができました。

また我々のプログラムは、入学前の段階から、受講生の状況を間を置かずに見ることができるので、その情報をもって入学後すぐに面談することができます。この「タイムリーな可視化」は、先生方にとっても非常に価値があると感じていただいています。
受講後の学生の反応はどうですか。
伊藤
受講後アンケートでは、「大学で学ぶイメージがわいた」、「大学での学びに何が必要なのかがわかった」といった回答が9割を超えます。

先日、プログラムを受講して大学1年生になった人たちと話す機会がありました。「入学後の学びとつながっていますか?」と聞いてみたところ、「学んだことが授業で触れられたとき、事前にやっていたからわかる!という自信につながりました。 受講して本当によかったです」と、うれしい答えが返ってきました。

大学からも、「学ぶ目的が明確な学生はしっかり伸びていく」といった話を伺っており、ねらいとしたことは形になってきていると感じています。
年内入試で合格したあとの「学習空白期間」を、「成長するための期間」にする。

大学での学びは分岐点。
自分の未来を切り開く若者を一人でも多く!

さらに改善していきたいポイントは?
伊藤
教材企画では、もっといろいろな学生のタイプに対して柔軟に対応していきたいと思っています。「やらされ感」をもつ学生が、いかに自分ごととして取り組むようになるかは、変わらないテーマです。学生にとって役立つもの、受講して意味があるものとして、学習意欲を刺激するアプローチを磨き続けたいですね。

また、プログラムを受けても力を伸ばしきれない学生をどうするか、といった課題もあります。大学への報告会では教材・サービスに足りていない部分の気づきもいただくので、さまざまなご意見を生かしながら改訂を続けていきます。
岩本
大学の、学修の準備がしっかりできている状態で入学者を受け入れたいという思いに、よりよいかたちで伴走していきたいです。「入学選抜」に関わるアドバイスのご要望も増えていることから、そこも含めたサポートを次の視野に入れています。

進研アドは、教学的な領域にとどまらず、学生募集や広報なども含め総合的・包括的に大学・学校の課題を解決支援する会社です。その強みを生かして、パートナーとして一緒に考えながら新たな入試のデザインを描いていけたらと思います。
社会環境も大きく動くなか、「入学前教育」の時期にある学生に対しどんな思いをもっていますか。
伊藤
学生が、自分が決めた進路に納得し、「この大学に行ってよかったな」という気持ちでいてくれること、ひいては将来振り返ったときに、「あの大学で学んでよかったな」という状態にしたいという思いは、事業に携わったときから同じです。

プログラムの中で「なりたい自分」を聞いていますが、「社会でこういうふうになりたいから、大学でこれを学びたい」と書いてくれている学生もいて、すごく頼もしい。目的を持ち、社会で自己実現していける人になるために、大学での学びは分岐点になります。一人でも多く、「自分はこれを頑張っていきたい」という思いをもち、羽ばたいてほしいです。
岩本
ベネッセグループのパーパス「誰もが一生、成長できる。自分らしく生きられる世界へ。」という視点は、大学の皆さんと一緒に「自分の未来を切り開いていく若者を一人でも多く増やす」という、我々の事業のベクトルと重なっていると思うのです。自分の人生・未来を切り開くにあたって、自らの意欲とか、関心といった、モチベーションの種にしっかり水をあげることで、ゆくゆくは「自分らしく生きる」未来につながっていくのだろうなと。その支援を、日々のコミュニケーションを通じてやっているという感覚は、これからも大事にしていきたいと思います。
岩本 野亜(Noa IWAMOTO)
2014年「進研アド」に入社し、中部・北関東エリアの大学教育・広報の改革支援に従事する。
2022年より、大学の教学領域支援に特化した教育事業部のフィールドセールスリーダー。
伊藤 優美(Yumi ITO)
2018年「進研アド」に中途入社。以降、入学前教育の商品開発や顧客の教育課題解決支援に従事する。
現在は入学前教育教材開発推進リーダー。

撮影:阿部 彰人 ※ご紹介した情報、プロフィールは2023年12月取材時のものです。

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