グローバル化と言われ30年 なぜ日本人は英語が話せないのか
(英語力ミライ会議Vol.2-1)

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英語力ミライ会議とは?

めまぐるしく変化する時代に求められる「これからの英語力」をゲストと共に探求していくメディアです。
第2弾となる今回は、「グローバル化と言われ30年 なぜ日本人は英語が話せないのか」をテーマに、株式会社スタディーハッカー 常務取締役 田畑翔子氏にお話を伺いました。

Profile田畑 翔子
株式会社スタディーハッカー 常務取締役
同社のメインのサービスは「ENGLISH COMPANY」という英語のコーチングサービス。このサービスでは、英語教育・言語習得のプロフェッショナルがパーソナルトレーナーとしてビジネスパーソンの英語力向上サポートを提供している。
田畑氏本人も、大学院で言語教育・英語教育を専攻している。

データから見る日本人の英語力の現状とは?

田畑氏が過去調査したところ、大体半数ぐらいの企業が、何らかの英語のテストのスコアを採用に際して指標としている、あるいはそうすることを検討していることがわかった。こういった場合に、必要とされる英語力の基準としては、CEFRでいうB1レベル以上が目安となる。また、大学生の英語力の平均としても、概ねそのレベルに位置している。

また、採用時だけではなく、入社後にも英語力を社員に求める企業は少なくない。ある機関の調べでは、およそ3割以上の企業が、昇進・手当の要件に一定の英語力を含んでいるという。

※ベネッセi-キャリアが調査した大学生と社会人(海外関連従事者)の比較データはコチラから

なぜ日本人は英語が話せないと言われるのか?

田畑氏が考える最も大きな要因は、日本人を取り巻く社会的な環境だという。これまでの日本は、世界市場においても高い競争力を保っていた。それは、日本国内である程度の成功を収められれば、世界水準で見ても裕福な暮らしができることを意味していた。そのような環境下で求められる英語力は、まず第一に国内での大学受験で勝ち残るためのものであった。

また、教育に関連して言うと、日本においては母語のみで高等教育を受けられることもあり、たとえばリスニングのような実用的な技能を公的な英語テストに含むのは2006年になってからと立ち遅れも否めなかった。ただ、昨今では、大学入学共通テストでリスニングの点数比重が高まるなど、コミュニケーション重視の英語力が学生レベルで要求されるようになりつつあるのは良いことではないか、と考えている。

変わりつつある日本における企業のグローバル化について

どんな企業であっても、国外との接点は着実に増えてきている実感がある、と田畑氏は言う。日本企業は、人口減・購買力低下の影響を受ける国内市場だけでなく、国外市場も狙い始めていることがまずひとつの要因。そして、海外企業によって国内企業が買収されるケースも少なくない。また、業界の変化が速いIT企業においては、従来のオフショア開発だけではなく、人材確保のために海外の人材を直接自社に採用するケースも増えてきているという。

田畑氏は、こういったケースを見聞きして「完全に潮目が変わった」と感じたという。というのも、一般的にIT業界の取り組みは他業界と比べてたしかに先進的な傾向はあるが、同様のケースが今後IT以外の業種においても広まっていくことが十二分に考えられるからだ。そう考えると、どんな企業・どんな職種で働いていても、英語力が求められる時代になりつつあるのではないかと考えられている。

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