Benesse 「よく生きる」

EPISODE 人と社会の
「Benesse(よく生きる)」
をめざして

テレビ番組『しまじろうのわお!』が描く、子どもたちに寄り添い、時代とともに変化する「しまじろう」の魅力とは
しまじろうこどもちゃれんじ乳幼児保護者社会課題

左:ベネッセコーポレーション グローバルビジネス推進部 安野英子(Eiko YASUNO)
右:ベネッセコーポレーション グローバルビジネス推進部 川村裕紀(Hiroki KAWAMURA)

ベネッセコーポレーションの幼児講座『こどもちゃれんじ』とともに生まれたキャラクター「しまじろう」は、一緒に遊びながら学んでいく「友だち」「仲間」、時には「ライバル」として、子どもたちの生活に寄り添い続けています。その活躍の場のひとつがテレビ番組『しまじろうのわお!』。幼児にとって新しい発見が詰まった内容で、周りの大人とも対話しながら社会のことを学ぶ工夫が凝らされています。いつの時代も小さな子どもたちの大好きな存在であり続ける「しまじろう」。その魅力の理由を、番組のコンセプトを通してご紹介します。

大好きな友だち「しまじろう」の真似をしながら興味を広げ、知識を得ていく子どもたち

「しまじろう」がデビューしたのは1988年。今も変わらず人気者ですね。
川村
「しまじろう」は幼児向けの通信教育講座『こどもちゃれんじ』のキャラクターで、創刊とともに誕生しました。それからずっと、子どもたちと楽しく遊びながらともに学ぶ「友だち」であり、学びを促す伴走者という役割を担ってくれています。
「しまじろう」の存在が、なぜ学びにもつながるのですか。
川村
人間は愛着のある人、大好きな人の真似をしたいという特性を持つと言われています。幼児にとって最初に愛着の持てる人は親・保護者であることがベースですが、2歳後半くらいになると、大好きな「友だち」もでき始めます。そして友だちがやっていることを見て、知らないことや興味がなかったことでも「自分もやってみよう」と、真似するようになります。

つまり、「しまじろう」と一緒に遊んでいるうちに、新しいことに興味を持ち知識を得て行動したくなるという、そんな後押しになれることがねらいです。
幼児の発達段階をふまえたとはいえ、長年支持されている理由はどこにあると思いますか。
川村
大好きな友だちであり、時にはライバルでもある「しまじろう」に子どもたちが感情移入し、社会性や人間関係を学んでいく。そのためにわれわれも、キャラクターというよりは一つの個性ある人間として「しまじろう」をとらえ、ともに歩んできたからかもしれません。

もう一つは、「しまじろう」は子どもたちとその周りの大人の方々に「育てられてきた」からではないでしょうか。おうちの方からの、子どもたちの生活面や学習面での「こんなことができるようになってほしい」 「将来こうあってほしい」という願いにも耳を傾け、その時代に合った「しまじろう」であり続けるよう育まれてきた結果かなと思います。
入社以来、編集職を中心に、営業・テレビ/コンサート・電話窓口・海外ビジネスなど、『こどもちゃれんじ』、「しまじろう」のブランディングに一貫して関わり続ける川村

『しまじろうのわお!』の根幹にあるのは「いのち」。大人も一緒に見て、気づきを共有しあう

「しまじろう」の活躍の場は講座のほかに、テレビ番組『しまじろうのわお!』もあります。どういったコンセプトで制作していますか。
安野
1993年の放映開始当時は「しまじろう」を知っていただくことが目的でした。今は子どもたちが「しまじろう」を通して新しく何かを知ること、学びのきっかけを提供することを柱にしています。
2011年の東日本大震災が、番組内容に大きな転機をもたらしたそうですね。
安野
ちょうどリニューアルを控えていたときに、大震災が起きました。そのあと、ベネッセの企画担当者や制作スタッフ、監修者などの関係者が集まり、番組を通して何を届けるべきかの深い議論を重ねました。その中で、子どもたちに伝えていきたい大切なことは「いのち」なんじゃないかという声が上がり、方向軸が固まっていきました。

当時は、世の中全体が内にこもる暗い感じもありました。だからこそ子どもたちには、この世界にある色々な「いのち」に気づいたり、自分の「いのち」を感じたりできるように、「開いた世界に目を向けよう」というメッセージを込めた番組を届けていこうと。
川村
『しまじろうのわお!』という番組名には、親子で驚き楽しもうという思いを込めているんです。そのためにずっと、新しいテーマへの挑戦や試行錯誤を繰り返しています。
「でかけよう。せかいは そとが おもしろい!」の番組キャッチフレーズにもつながるわけですね。内容には、具体的にどんな工夫をしていますか。
安野
「しまじろうアニメ」では、家族への愛情や感謝を伝える、友だちと仲良くするなど、幼児期において大切なテーマを取り上げています。また1年間の季節・時期に合わせ、キャンプや果物狩り、博物館に行くなどの「しまじろう」の体験を視聴することをきっかけに、「自分たちもやってみたい!」などの親子の会話が生まれるよう心がけています。

さらに、車いすに乗る新しい友だちの「あみりい」の登場、両親が家事を分担する姿をお話の中で描くなど、今の時代環境にも配慮しながらアップデートを続けています。

実写で見せるパートでは、幼児教育をはじめ各分野の専門家からアドバイスをいただきながら、身近な生き物から絶滅危惧種、テクノロジーなどを子どもたちが興味を持つ切り口で紹介し、また、交通安全や環境への意識などを歌やダンスを通して伝えるといった、楽しみながら自然に学べる見せ方の工夫もしています。

このようなコンテンツ作りを続けることで「しまじろう」への愛着が高まり、発見と驚きの「わお!」が子どもたちの中に生まれることが、番組にとって大切な役割だと考えています。
『こどもちゃれんじ』 『こどもちゃれんじEnglish』の企画・編集を経て、現職ではテレビ/映画のプロデュースを担当する安野

もしものときは、自分のことは自分で守る。身近で大事なことを、わかりやすく教える役目も

番組で最近放映した、事故防止のための「くるまの なかから SOS」というコンテンツは、大きな反響をいただいているとか。
安野
子どもが万が一にも車に取り残されたときに、どうやって周りの大人に知らせるかを伝える内容です。幼稚園の先生方にもご協力いただき、こども家庭庁にも内容を確認していただいて制作しました。
川村
車の中で一人になったときにクラクションを鳴らす方法を教えるもので、実写と歌で構成しています。特にバスのような場合は、構造上、子どもの手が届きにくいですよね。その時は「よじ登っておしりでクラクションを押そうね」というアイデアを歌詞にしています。

実際に園児の皆さんに試してもらったシーンがありますが、一人ひとり押し方に特徴があります。もしものときに、「見たことある」どれかを思い出してもらえたらと願っています。
置き去り事故ゼロをめざした動画「くるまの なかから SOS」。乗用車や園バスでクラクションを鳴らす方法を紹介している。
安野
放映後に行ったアンケートでは、「最近の問題を取り上げてもらい、参考になりました。子どもに、ああやってやるんだよと説明する機会にもなりました」 「歌で子どもに教えることができていいなと思いました。おしりで押すというのは目からウロコです」など、コメントをたくさんいただきました。「YouTube」でも公開していますので、ぜひ多くの方にご覧いただきたいです!
子どもたちだけでなく、大人も一緒に視聴されているのですね。
川村
『しまじろうのわお!』は、おうちの方がリアルタイムで視聴するケースが多いのも特徴のひとつです。子どもたちがテレビを見ながら気づいたことを口にすると、おうちの方がそれに応え、一緒に気づきを共有して新たな行動につながっていく。そういった能動的な時間になっているというお声も、視聴者からいただいています。

子どもたちの今と未来を見据え、自分で考え、チャレンジする「しまじろう」へ

番組を通して、さらにどんなことを伝えていきたいですか。
安野
身近な生活と、ちょっと先の未来をよりよく生きるために必要な、世界の見方を広げる「わお!」体験をお届けしていきたいです。

それには、「しまじろう」が今までよりも自分で考えてチャレンジして、彼のまわりの人たちも「いいね!それやってみよう」と受け止めてくれるシーンをたくさん見てもらいたいですね。それをきっかけにして、子どもたちが「自分もやってみよう!」と積極的に行動する後押しになれればと思います。
川村
社会や家族像の変化に合わせ、「しまじろう」や彼を取り巻くキャラクターも少しずつ変わっていきます。でも単に今の環境に合わせて変えるとか、企業から一方通行のメッセージを送るためではないと思うのです。最近はSDGs もテーマにしていますが、子どもたちが大きくなった時の社会を考えて今できることは何か、そういった観点も忘れてはなりません。

「わお!」とは一体何なのか、その共通言語のようなものを番組に関わる皆で何回も何回も言葉にし直す作業をずっと続けています。軸足をぶらさずに今と未来を見据えること、子どもたち自身が新しい気づきや発見を自然に得られることを大事にしながら、「しまじろう」を大好きでいてくださる皆さんと一緒に、その世界感を広げていけたらと思います。

※放映エリア、見逃し配信、動画公開についてはWEBサイト『しまじろうのわお!』でご案内しています。

撮影:デザインオフィス・キャン ※ご紹介した情報、プロフィールは2023年8月取材時のものです。

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