Benesse 「よく生きる」

EPISODE 人と社会の
「Benesse(よく生きる)」
をめざして

この瞬間を「自分らしい」働き方・生き方に。ベネッセグループのWarisが女性人材マッチングサービスでめざす社会
社会人働き方リスキリング社会課題

株式会社Waris(ワリス)

左:代表取締役/共同創業者 田中美和

右:エージェント事業部コンサルタント 花田明日香

時代とともに女性の労働力活用の意識は高まってきたものの、キャリアアップしながら働き続けるためには、まだまだ解決すべき課題が残されています。その現実に向き合い、人材マッチングとリスキリングなどの事業を通して女性の多様な働き方を支援するのが、ベネッセグループの株式会社Waris(ワリス)です。
創業から約10年、女性の働き方に対する環境変化のなか、軸足をぶらさず課題解決に取り組み続ける理由とは?その思いを聞きました。

起業の理由は、画一化した働き方に悩む女性を何とかしたいという強い思い

株式会社Warisが生まれた経緯を教えてください
田中
私たちは2013年に創業し、今年で11年目を迎えます。当時は、女性活躍推進法や働き方改革関連法などができる前で、周りにいる多くの女性が働き方に悩んでいました。その状況を変えたい、課題を解決したいという強い思いから、田中・米倉・河の3名が共同代表となり起業しました。「Live Your Life すべての人に、自分らしい人生を。」というビジョンを掲げ、主に女性と仕事・企業をマッチングする事業を行っています。理念がとても共鳴しあうことから、2023年にベネッセグループに加わりました。
創業した当時はどんな悩みが多かったのでしょう。
田中
「責任のある仕事をしたいなら長時間労働が当たり前」、「短時間勤務を選んだら、なかなか仕事を任せてもらえない・評価につながらない」など、世の中の働き方が画一化しているがゆえの悩みですね。その課題に対して私たちは、フリーランスやリモートワークといった多様な働き方を認める職場があれば、女性の生き方の選択肢が増え、ハッピーになる人も増えるのではないかと考えたのです。
約10年を経て、世の中の「働く環境」に変化は感じますか。
田中
大きく変化していますね。法的な面だけでなく、社会の流れも「ダイバーシティ&インクルージョン(Diversity & Inclusion)」、SDGs、ESG、人的資本経営などの考え方も出てきました。やっぱり「人」ってすごく大事ですから、多様な人が活躍できることがよい社会・よい会社なのだという時流は、非常に大きな動きだと思います。
加えてコロナ禍があり、大企業もスタートアップ企業もリモートでの働き方を取り入れるところが増え、仕事を続けやすい環境になってきました。仕事を通じて成長していきたい人、自分を伸ばしていきたいと思う人には追い風ではないでしょうか。

「Live Your Life」⇔「Live My Life」を語り合い、
ビジョンが自然に根づく職場

Warisは今、エージェント事業、リスキリング事業、ソリューション事業とサービスの幅を広げていますね。登録する方々との対応の際に心がけていることはありますか。
花田
私は営業チームでお客さまと接しつつ、チームメンバーのマネジメントをしています。まず思うのは、最初に田中がお話しした「Live Your Life すべての人に、自分らしい人生を。」というビジョンを、社員・スタッフのみんなが日常の中で自然に意識していることです。
Warisでは個人登録者のことを「パートナー」と呼びますが、Warisパートナーの方々には多種多様なニーズがあり、かつ、バックグラウンドも条件もさまざまです。思いや状況をしっかり受け止めた上で、その人が自分らしく仕事をしていくために何が提供できるのか、それを一番大事にしようという思いをメンバーだれもが持っています。普段のミーティングでも、「それ、Live Your Lifeに貢献できてるよ!」という言葉が飛び交っています。
「思い」はどのように共有されているのですか。
花田
共感力のが高いメンバーが多いことと、自分自身がキャリアで悩んだ経験をもつ人もいるのでパートナーの話が他人事に思えず、徹底的に寄り添うことが自然にできているようです。
田中
自分や周りの人の働き方を支援しようとスタートした会社なので、その意志に共感してくれて、お客さまの課題を「自分ごと」として考えられる人たちが入社しているのだと思います。
会社の仕組みとして一つあるのは、「Live Your Life」というビジョンを日常的に話すことです。毎週の全社会議に「Live My Life シェア」というプログラムがあり、メンバーそれぞれの「Live My Life」、大事にしていることや興味を持って取り組んでいることを話してもらいます。ほかの人の価値観や人生に触れることができ、自身の人生を振り返るきっかけにもなる。そういう機会は日常的につくるようにしています。
なるほど。自分の言葉で語ることがポイントですね。
花田
「リスペクト」という言葉もよく出てきます。弊社のビジョンだけでなく、人材を求める企業様にも譲れないミッションがあり、働きたいパートナーさんたちにも思いや成し遂げたいことがあるので、こちらから何かを押しつけることは決してやらない。Warisも含めて三者でそれぞれのハピネスを作っていこうという意味を込めて使っています。
10周年となる2023年3月に開催された全社ミーティング「エンパワーセッション」にて。この日はフルリモートのメンバーも全国の居住地から集合した。

仕事以外で培った能力も強みにして、
少しずつ自信をつけるようサポートする

Warisらしい「思い」を持ちつつ日々の仕事にどのように取り組んでいるか、一例を教えてください。
花田
たとえばエージェント事業のなかに、「Warisワークアゲイン」というサービスがあります。育児や介護、家族の海外転勤などで離職したものの、もう一度キャリアを再構築したいと願う女性たちを支援しています。
登録される多くの方は「エントリーしてみたけど、本当にできるだろうか」、「ブランクは埋められるだろうか」という不安を感じていらっしゃいます。そのお話を丁寧に聞いて受け止めつつ、こちらからの提案やアドバイスをお伝えし、「自分にもできるかもしれない」というところまで少しずつ考え方を変えていっていただくようサポートし続けるのは、私たちの大事な役目です。
もちろん企業にもニーズや不安はあるので、「この人を採用することが企業様にとってどのようなプラスになるのか」を弊社の意見としてしっかり伝え、面談・選考に進めていき、成約した際には安心して入社できるよう諸々の状態を整えます。
入社が決まったとき、あんなに不安そうに「私にできるでしょうか? でも、とにかく頑張ってみます」とおっしゃっていた方が、半年後には職場の中で見違えるように活躍されているといったことは、少なくありません。
手ごたえを感じる瞬間ですね。とはいえ離職期間が長い場合は難しいこともあるのでは?
花田
たしかに始めは「私の強みはどこかしら」という状態です。ただ、職歴だけで考えなくてもよいのではないでしょうか。たとえば、主婦で海外駐在に同行されていた方はどのように現地のコミュニティに入っていったのか、学校のPTAに参加していた方はどんな役割を担い行動していたのかなど、それぞれの経験がご自身なりの強みになると思うのです。お話を聞きながら、「それってすごくよい経験をされています。職務経歴書にも、場合によって書けることがありますよ」などお伝えしながら自信をつけていただき、仕事の紹介につなげていくケースはいくつも生まれています。
田中
社会人としての生活で培った論理的思考やコミュニケーションスキルなどは非常に汎用性の高い、職務の中でも重要になるポイントなのです。お持ちの能力に加えて最新ツールやデジタルなどの学びをインプットし、新たな仕事の獲得につなげていただくのも私たちの役目ですね。
花田
入社したらおしまいではなく、その後の様子をお尋ねしたり、広報取材でいろいろとお聞きしたりする機会がありますが、「こんな役割まで任されるようになったんです。ありがとうございました」とキラキラした様子で話されるのを見ると、「人間のパワーってすごい!」と心から感動するんですよ。
「Workアゲイン」の登録者数は約4900名。
(Waris2021年3月資料より)。
ほかの事業も含め、クライアント企業の方々からはどんな評価をいただいていますか。
田中
7割ぐらいはスタートアップ企業なので、限られた人数で少しでも事業を成長させようと、必要な人材の確保に苦労されています。要望へのフィット度合いの高いパートナーをご紹介できると「新規事業を立ち上げることができそう」、「業務改善ができて会社がよく回るようになった」などの声をいただくので、インパクトは大きいようです。いろいろな働き方を容認していただくことで改善やスピードアップにつながっているようです。
技術のマッチングだけでなく、働きたい人と企業風土との相性も気になりますが・・・。
田中
その観点は外せないですね。最終的にはそこで判断されることも多いですし。入社してうまくなじんでいけるかは未知数なので、まずは両者で面談という形で話していただくようにしています。また、私たちの「見立て」をお伝えするために、企業様の社員構成やどんな人たちが働いておられるかなどは徹底的に情報収集します。組織の今の注力点だけでなく、2~3年後にどういう組織にしたいか、先のことまで伺うなかでカルチャーを感じ取り、理解を深めることが非常に大事ですね。

働く環境の多様化を追い風に、
日本の女性のキャリアをもっと応援したい

ベネッセグループの他事業との連携を含め、新たな展開も生まれていくことと思います。これから挑戦したいテーマを聞かせてください。
田中
Warisは画一的な働き方に対する課題感から創業しましたが、働く環境は今、ずいぶんと多様になりました。一方で日本の女性のキャリアは、女性管理職の比率が先進国と比べると極めて少なく、かつ、この10年でさほど変化していないという事実があります。もっと女性のリーダーが増えたらよいのにと思いますし、「Warisエグゼクティブ」という自社のサービスを通じてその課題解決に貢献していきたいです。現在は女性役員のマッチングですが、今後リーダー、マネージャー層にも広げる予定です。
花田
育児・介護に直面したとき、まだまだ女性に負担が偏りがちだなと感じています。仕事のブランクから抜け出せない、非正規雇用で賃金が上がっていかないなどという話も多いですよね。だからこそ、今までの経験は活かしつつ、新たな学びを掛け合わせてちゃんと働けるところまで支援することが必要です。弊社ではリスキリング事業も行っていますが、グループ内や他社にも力を借りながら横の連携をつくり、女性のキャリアの多様化やキャリアアップを応援していきたいです。
田中美和(Miwa TANAKA)
株式会社Waris代表取締役/共同創業者。国家資格キャリアコンサルタント。大学卒業後、大手出版社で「働く女性」向け情報誌を担当。取材・調査を通じて接した働く女性の声はのべ3万人以上にのぼる。
花田明日香(Asuka HANADA)
国家資格キャリアコンサルタント。大学卒業後、大手国内証券会社にて個人向け営業とマネジメントに従事。自身の体験や出産・育児・介護などの事情でキャリアを諦めた女性たちに出会ったことをきっかけに、Warisに入社。エージェント事業部コンサルタントとして各種サービスの営業に取り組む。

撮影:阿部 章仁 ※ご紹介した情報、プロフィールは2024年1月取材時のものです。

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