Benesse 「よく生きる」

EPISODE 学びを支えるストーリー 将来必要な力が
身につく

マクロとミクロの視点を掛け合わせ
経営、事業を支える専門チーム
分析見立て専門組織
事業戦略部 ビジネスインテリジェンス課 
課長 小野寺 馨
「進研ゼミ」部門を経て、2015年に立ち上がった「ビジネスリサーチ課(現:ビジネスインテリジェンス課)」へ。リサーチを通じた全社・経営支援と事業支援をリーダーとして推進。
事業を取り巻く市場環境の情報収集、分析、見立てを行う専門組織。主に、マクロ視点からの全社・経営支援と、ミクロ視点での消費者リサーチをベースとした事業支援を担う。
こだわりポイント
  • 社会、お客様の変化の見立ての解釈を深め、全社視点と事業視点で行き来しながら、事業進化を支えていく
  • マクロ視点であっても、ミクロ視点であっても、「お客様の意識変化」に事業とともに向き合い続けることを徹底し、「お客様本位」の実践を支えていく
お客様に役立てていただける商品サービスをお届けするために、お客様を深く知る消費者リサーチの精度向上を目的とした「ビジネスリサーチ課」が2015年に立ち上がりました。2020年に「ビジネスインテリジェンス課」へと名前を変え、領域担当制による事業支援をコアとしながら、全社横断で5年後、10年後を考えていくための事業環境の見立てと分析を新たに開始しました。見通しが不透明な状況においても、変化の見立てと洞察を持って経営、事業を支える想いとこだわりをご紹介します。
全社での社会・環境変化を見立て・分析を行う意義は、
見通しが難しい中にあっても、ぶれない価値観・判断の軸をつくることにある
小野寺
事業環境を取り巻く情報収集は、様々な部門で行っています。短期的な事業支援では、お客様の意識を直接うかがうことも含め、いくつかの確度の高い情報を収集・今の事業への影響を鑑みて、対応していくための活動設計と実行を各事業単位で進めてきました。ですが、中長期的な経営・全社視点では、考慮する要素が多岐にわたる一方で、必ずしも確度の高い情報だけを集められるわけではありません。玉石混合の情報を一歩引いて見比べながら「これは妥当性があるだろう」「この解釈の方針は正しいだろう」と、情報をメタ的に分析することが重要になります。さらに、メタ分析に基づいた環境の見立て・事業への意味合いを出すことが求められ、そこを担っているのが私たち、ビジネスインテリジェンス課です。

環境が変わる速度は確実に加速していて、さらに2020・2021年は、新型コロナウイルスにより非連続な変化が多く起こりました。環境変化について調べると情報はいくらでも出てきます。いろいろな可能性が考えられ、人によって様々な意見があり、一つ一つの情報に引っ張られやすい状況にあります。その中で、どこまで見立てられるかは難しくはありますが、少なくとも全社で「きっと世の中はこうなっていくだろう」「その時にお客様はこう感じるのではないか」という大きな方向性が共有できると、会社としての価値観・判断の軸がぶれなくなります。それが、環境変化の見立てと分析を全社で実施している意義だと考えています。
事業活動を進化させるため、
全社と事業現場で行き来しながら、意味合いの解釈を深めることにこだわる
小野寺
まず、全社への影響が大きそうな変化の見立て・分析を事業へインプットします。その後、事業ごとに検討する時間を持ち、それぞれの事業で肝になりそうなことや、注視していくべきことをあらためて全社横断で議論をします。

全社という切り口だと、どうしても最大公約数的な話になりがちです。そのため、事業活動の進化につなげるには、全社横断の解釈からもう一歩踏み込み、各事業にとってより肌触りのある意味合いになるまで解釈を踏み込むことがなにより大事になります。

それを支援できるのは、ビジネスインテリジェンス課は、事業支援が出発点で、消費者リサーチを中心とした各事業現場に入り込んで支援を積み重ねてきたからこそ。事業現場が考えていること、気にしているポイントがビジネスインテリジェンス課のメンバーの知見としてたまっています。

各事業現場で集めている情報を集約し、さらに私たちのチームで独自に集めた情報を加えて、全社横断視点で見た環境変化が、担当している領域でどういう意味合いになるかを、メンバーとのディスカッションを通して考察してみる。そして各事業で見立てを検討する中に、担当メンバーも混ざって一緒に議論をしていく。

全社横断で終わらせるのではなく、各事業現場に情報を返していく時にもう一歩踏み込み、腹落ちする解釈につなげていくことは、挑戦でもあり、最もこだわっている点でもあります。
入口はマクロ視点でも、最後は「お客様の意識がどう変わるか」につなげることを徹底する
小野寺
今、教育の領域で外せない環境変化の1つが「GIGAスクール構想」です。新型コロナウイルスの影響を受け、最低限の学習環境を保つという防災的な側面からも広がりました。ここにさらに、教育的な価値の共通認識がもてた瞬間に、急拡大し、その根付き方が小学校・中学校領域の見立ての分水嶺になると考えています。そうなれば、学校と校外学習の垣根が低くなり、結果、学校と家庭の関係性や学校の位置づけが変わる。そこは確実に起きうることだと捉えています。

また、お客様の目の前の変化だけでなく、一歩引いてみると、ライフスタイル、ワークスタイル、世代の変化による掛け算も大きいと思っています。在宅で仕事が可能になり物理的な拘束が減れば、当然ながら働き方も変わり、家庭内でのおうちのかたと子どもたちの関係性が変わります。おうちのかたの変化を見て、子どもたちの価値観もまた変わっていく。育った時の背景環境の違いから、ミレニアル世代とZ世代の比較はよく話題にあがりますが、環境変化が激しくなる中では、世代の区切りや価値観の差分はさらに細かく多様になっていくのではないでしょうか。

こうした見立てを考えていく上で、絶対に外せない観点があります。それが、「どれだけ大きい話から入ろうと、家族・親子の関係はどう変化するのか、家庭の中で何が起きるのか」を真ん中に置いて考えていくことです。学校向け事業であっても学校現場の変化は家庭に影響がありますし、校外学習事業はまさに家庭での生活の中で起こることです。マクロから事業環境の変化をまとめて、なんとなくわかった気では終わらせない。その影響を受けてミクロであるお客様の意識の変化にしっかりつなげる解釈をする。自社の事業構造、事業にとってのお客様を理解し、お客様を取り巻く環境がどう変わるのか、そしてお客様にとってどうなるのか、という鳥と蟻の視点を行ったり来たりしながら考える。それが私たちの専門性だと考えています。
「お客様本位」を貫き、
専門チームとして期待を超えた付加価値を常に意識し事業を支援していく
小野寺
ビジネスインテリジェンス課で大切にし、実践できているかを都度振り返っていることが2つあります。1つは「お客様には忠実に、事業・経営には献身的にふるまう」、もう1つは「少し余計なことをして、期待を超える」です。

私たちの社内での活動を支えるものは事業支援を通じて構築した、各事業現場との関係性です。アドバイザー的ポジションではなく、一人ひとりのメンバーが担当領域・事業の一員という意識を強く持ち、実際に手を動かして、信頼を積み上げてきた結果だと思っています。相手のための仕事ができているかを意識しながら、専門性のあるメンバーとしての付加価値を相手の期待を超えて出しているか。

ただ、私たちは事業の味方ではあると同時に、独立したチームとして、社内の誰かの手先ではなく、「お客様本位」であるべきとも考えています。 事業現場とスタンスが対立するときがあっても、「お客様から見た時にはこう考えられますよね」と、少し目線を変えて話をすると、実は対立しなかったりします。まさに、「お客様本位」は事業との共通言語になっていると実感しています。

撮影:デザインオフィス・キャン

(2021年9月取材)

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