オートデスク株式会社は、製造業や建築・土木業、そしてメディア&エンターテインメント業界向けのソフトウェアやテクノロジーを開発・提供する企業です。製品を購入したお客様からの問い合わせに対応するテクニカルサポート部門では、社員に継続的な学習と成長を促すため、Udemy Businessを活用しています。また、実践型思考力テスト「GPS-Business」を組み合わせ、社員の評価基準を明確化することにも取り組んでいます。 

今回は製造業のお客様向けサポートを行うテクニカルサポートでマネージャーを務める芳賀さんと、現場でUdemy Businessによる学びを進める池上さんと川田さんに、自立的な学習サイクルをチーム内に浸透させるための工夫と学びによる変化について伺いました。 

より付加価値の高いサービスを提供するため、技術だけでなくソフトスキルまで強化できる学びを導入

製品を購入したお客様からの技術的な問い合わせに対応する、オートデスクのテクニカルサポート部門には、業種ごとに4つのチームがあり、約50人のエンジニアがサポートを行っています。

部門全体のミッションとして「日本の業界や文化・ビジネスに精通し、技術力やコミュニケーションスキルを向上し続けること」を掲げています。加えてお客様からのアンケートで「5段階評価のうち4または5」を一定割合で獲得することを目標としています。

「お客様から高い評価を得るには、技術的スキルだけでなく、お客様の困りごとを真摯に受け止めてコミュニケーションを取るソフトスキルも非常に重要です。必要とする能力は非常に高く、そのためには、常に学び続けるチームであることが必要です。社員の成長を支えるために、学習コンテンツの導入が不可欠だと考えました」(芳賀さん)。

さらに導入前の課題について芳賀さんは次のように説明しています。「個人の能力開発を促すため、社内では以前から『1か月に4時間まで業務時間内に勉強してよい』という制度がありました。しかし、部門として全体に受講を推奨するコンテンツがない状況でした。また、外資系企業のため新入社員に対する日本語のオンボーディング資料が限られており、外資系で初めて働く人の教育方法に悩む場面もありました」(芳賀さん)。

技術面だけでなくソフトスキルまで学べるコンテンツの豊富さが導入の決め手に

学習コンテンツの検討段階では、さまざまなサービスを試し、現場の社員の意見を参考にしました。その結果、4つのチームのすべてから、「役立つコンテンツが豊富にある」との声が上がり、Udemy Business導入の大きな決め手となりました。またマネージャーからは、社員の受講状況をすぐに管理画面で確認できる点も好評でした。

「導入前の課題だった、外資系企業で初めて働く人への教育にもUdemy Businessはとても役立ちます。特に、池上が受講し、部門全体で受講することとなった『外資系・グローバル企業で信頼を得て成果をあげる具体的な実践ノウハウとスキル』という講座は、テクニカルサポート部門全体にとって重要な知識だと感じました」(芳賀さん)

さらに、技術的スキルだけでなく、問題解決や論理的思考・コミュニケーションなど、どの業務でも役立つソフトスキルを身につけられる講座も多い点は受講者からも好評を集めています。

(図1 導入背景と導入の決め手)

ラーニングパスの活用で組織の理想像が浸透。学ぶ意欲にも変化が表れた

オートデスクでは、組織全体で必須講座を指定したり、さまざまな講座などを組み合わせて独自のカリキュラムを作成できる「ラーニングパス」を活用したりしています。

ラーニングパスには、Udemy Business講座だけでなく、自社コンテンツや外部リンクも含めて設計し、管理者側が意図した内容を社員に一律で受講させられる環境を整えています。 ラーニングパスの活用について川田さんは「新入社員の教育では、マネージャーが設定したラーニングパスに沿って学習を進めることで、新人が同じ内容をスムーズに学べる環境ができました。」と話します。

(シニアテクニカルサポートスペシャリスト 川田さん) 

マネージャー側から見た成果について、芳賀さんは「以前は4つのチームがそれぞれバラバラに学習していたが、Udemy Businessの導入をきっかけに、全員が同じコンテンツを学ぶ環境が整った」と説明します。

また、具体的な必須講座を示すことで、「会社としてこんな組織にしたい、こんな人材になってほしい」というメッセージがはっきり伝わるようになり、社員が何を学ぶべきかも明確になったことも大きな変化でした。現場社員の声として、川田さんは「Udemy Businessの具体的な講座を示してもらったことで、このスキルが求められているんだなとイメージしやすくなりました。部門として大切にすることが学習を通して理解でき、文化を醸成するうえでも非常に効果があったと思います」と印象を語りました。

同じく受講生の池上さんは「Udemy Businessを部門全員が受講できる仕組みができたことで、以前からあった『月に4時間、学びの時間を確保する制度』に対する意識が変わった」と自身に起きた気持ちの変化を話します。

「業務を調整して時間を確保する難しさはあるものの、その4時間をどう使うかを考え、自らUdemy Businessで講座を見つけて受講しています。より積極的に自己成長を目指す気持ちが強くなったと感じます」(池上さん)

(シニアテクニカルサポートスペシャリスト 池上さん)

学習と評価の連携施策で、社員の意欲を引き出し次の成長へ

オートデスクでは、Udemy BusinessとともにGPS-Business(実践型思考力テスト)も導入しました。導入について芳賀さんは「これまでは製品に関する知識・スキルは評価できていたものの、コミュニケーション能力やソフトスキルの評価は十分ではありませんでした。GPS-Businessを活用すれば、それらを可視化できると考えました」と話します。また出題内容が実務の場面に直結しており、評価に安心感があることも導入の決め手となりました。

(図2 GPS-Businessとは(詳細はこちら)) 

GPS-Businessをテクニカルサポート部門の全員が受検し、Udemy Businessと連携して活用しています。特に、問題解決に必要な3つの思考力(批判的思考・創造的思考・協働的思考)を高めるために、GPS-Businessに対応したUdemy Business講座「仕事のあるあるから学ぶ!問題解決に役立つ思考力講座【入門】」を全員必須で受講することとしました。

受検した池上さんは「ソフトスキルは定性的に評価されがちだけど、GPS-Businessのおかげで数値として自分の強み・弱みを正確に把握できました。自分に足りない部分が明確になったことで、マネージャーとの1on1においても客観的な指標をもとにしたすり合わせが可能になりました」と振り返ります。

オートデスクでは、GPS-Businessの結果を受けて社員が自ら学習目標を設定する取り組みを開始しました。「新年度の目標設定を行う際、それぞれの伸ばすべき部分がGPS-Businessによって客観的に可視化されたことで、学習計画も立てやすくなった」と川田さん。今ではUdemy Businessを活用し自分に合ったコンテンツを受講しながら、社員一人ひとりが自分の目標を達成するサイクルが、部門内に浸透しつつあります。

スキルの可視化を定期的に行い、“学び続ける組織”をめざす

学びの文化をより加速させるための今後の展望について芳賀さんに伺うと「社内バッジを活用してモチベーションの向上を促したい」という答えが返ってきました。Udemy Businessには、学習の成果に応じて受講者にバッジを付与する機能があります。各社でバッジの認定基準を自由に決定できるため、エンジニアがこれまでに学んだ内容を目に見えるものにし、意欲向上につなげたい考えです。

また、一定期間を空けてGPS-Businessを再度受検し、ソフトスキルの伸長を見ることも検討しています。今はGPS-Businessの結果をもとに、社員一人ひとりが年度の目標や学習計画を立てていますが、今後もUdemy Businessを活用した自立的な学びのサイクルを続けていく方針です。

さらに、テクニカルサポート部門では、今後採用活動にもGPS-Businessを活用することを検討しています。「業界の知識だけでなく、コミュニケーション能力や思考力といったポータブルスキルを入社前に測ることで、ミスマッチを減らし、ポテンシャルのある人材を採用することが重要だと考えています」(芳賀さん)

「何をどこまで学べばいいのか」この問いに対し明確な答えを示すことは、組織と個人の成長を支える土台になります。今後も「技術力やコミュニケーションスキルを向上し続ける」という部門のミッションに従い、Udemy Businessと GPS-Businessを連携させて学び文化をさらに進めていきます。そしてお客様により高い付加価値を提供できる組織をめざします。