中部電力3社(中部電力株式会社、中部電力パワーグリッド株式会社、中部電力ミライズ株式会社)は、2021年11月に「中部電力グループ 経営ビジョン2.0」を策定しました。その実現には、「人財一人ひとりの成長や活躍が企業価値そのもの」という考えの下、2023年5月に人財戦略を公表し、様々な取り組みを進めています。その中で、従業員の自律的なキャリア形成を支援する施策として、Udemy Businessが導入されました。今回は、同グループの皆さまに、人財戦略と人財育成施策について話をうかがいました。
※こちらの記事は、取材時、2025年10月時点の内容となります。
(写真 左から)
人事部 ダイバーシティ推進グループ 副長 松井香純さん
DX推進部 DX推進グループ 井口七海さん
人事部 HR変革推進グループ 副長 塚田真梨さん
人事部 ダイバーシティ推進グループ 副長 金子弦さん
人事部 ダイバーシティ推進グループ グループ長 宮﨑明生さん
経営ビジョンの実現には、多様な人財の活躍が不可欠
脱炭素化に向けた政策の加速やDXの進展、新型コロナウイルスの感染拡大を契機とする暮らしや働き方の変化など、エネルギー事業を取り巻く環境は歴史的な転換点を迎えています。大きな変化の中、同グループは、2021年11月に「中部電力グループ 経営ビジョン2.0」(以下、経営ビジョン)を策定しました。
その実現に向けて、同グループは「変わらぬ使命の完遂」と「新たな価値の創出」という2つを軸に事業を推進しています。既存事業の高度化や単なる事業規模の拡大にとどまらず、エネルギー事業とさまざまなサービスを掛け合わせることで、これまでになかった価値を生み出していくことを目指しています。人事部 HR変革推進グループ 副長の塚田真梨さんは次のように話します。
「新たな価値創出を実現するためには、前例踏襲ではなく、新しい領域へ挑戦する姿勢が不可欠です。そのため会社として、『社員一人ひとりが先輩の軌跡を超え、自律的にキャリアを築き、学び続けてほしい』というメッセージとして発信してきました。一方で、社員に挑戦や成長を求める以上、会社としても『この組織に貢献したい』と思える環境を整える責任があります。これまで大切にしてきた、安心・安全で健康的に働ける基盤を維持しつつ、社員が自らの変革に挑戦できる環境づくりに着手しました」
全従業員の自己変革を支援
そこで、経営ビジョンに紐づいた人財戦略を策定し、2つの柱を掲げました。
最初の柱は、「多様な人財が活躍できる環境づくり」です。安全管理体制の構築や安全文化の醸成に取り組み、従業員が心身ともに健康で働ける環境を整えることを目指しています。
もう1つの柱は、「自己変革に挑戦する従業員への機会と支援の提供」です。「Chance(チャンスを創出する)」「Challenge(果敢に挑戦する)」「Change(変革を実現する)」の3つのCに沿った施策を実施し、多様な人財の成長・活躍を後押ししています。
従業員の自律的なキャリア形成に向けては、3つの施策を行いました。1つめの施策は、求める人財像の明示です。39の部門ごとのありたい姿や提供価値、そしてそれを実現するために必要な資格・学びをまとめた資料を社内イントラネットに掲示して全従業員に公開しました。
2つめの施策は、既存業務を含む全ての事業分野を対象に社内公募で異動できる「マイキャリア公募」の新設です。中部電力3社では、新規事業立ち上げごとに人財を集める「プロジェクト型公募制度」を導入しており、それが自律的なキャリア形成を後押ししていました。その動きを加速することが狙いです。
「マイキャリア公募」は、異動の一部を「公募」で募集するしくみです。これまでは新規プロジェクト発足時のみ公募(プロジェクト型公募)を行っていましたが、それに加えて「既存のポジション」についても「会社主導の異動」ではなく、「社員から手を挙げる」形で公募する制度を導入しました。これにより、部門を横断する異動の拡大と、多様なキャリア形成を促進しています。
一方で、「いきなり異動するのは不安」という従業員もいると考え、社内兼業・社内インターンシップも設置。社内兼業は、現在の部署で働きながら、あらかじめ決められた期間・時間にて、別の部署で働くことができる制度であり、社内インターンシップは原則1日を目途に多様なキャリア形成の足掛かりにできる制度です。
3つめの施策は、オンライン学習サービスの導入です。自律的なキャリア形成を支援するためには、社員自ら学べる環境を整える必要があると考えて、オンライン学習に着目しました。基礎的なITスキルの向上やカーボンニュートラル、地域循環型社会など、新たな領域への挑戦に向けて、従業員一人ひとりが自ら学習することが求められる中で、社員一人ひとりが自身の興味・関心に応じて学習できるオンライン学習は、有効な支援手段であると判断しました。
数あるオンライン学習サービスの中からUdemy Businessを選定した理由は、ビジネススキルからデジタル分野をはじめとする専門的なスキルまで、基礎から応用まで幅広い領域を網羅している点にあります。各分野の専門家による実践的な講座が充実しており、社内研修では補いきれない部分を補完できる点も評価しました。この点について、塚田さんは次のように語ります。
「各種スキルを身につける上で、基礎から応用まで幅広く講座が用意されている点が良いと感じました。また、講師を務めている方々も実務に精通した方が多く、社員にとって身近に感じられながらも、レベルの高い内容を学べる点が魅力です。そうした点から、社員の学びを支援するツールとして適切だと考え、導入を決めました」
ラーニングカルチャーの醸成を目指し、「まなび月間」を実施
経営ビジョンの実現に向け、人財戦略を軸とした各種施策を推進している同社。同時に、従業員一人ひとりが主体的に学び続ける「ラーニングカルチャー」の醸成が重要だと考え、さまざまな学び促進施策を展開しています。
その取り組みの第一歩として同社が注力したのが、「なぜ学ぶのか」という意義を従業員に理解してもらうことでした。社内報への社長メッセージ掲載に加え、経営ビジョンや人財戦略について解説する動画を制作・配信し、トップの想いを丁寧に伝えています。
こうした学習環境の整備を担っているのが、マネジメントサービス本部 人事センター ダイバーシティ推進グループです。同グループ長の宮﨑明生さんは、次のように語ります。
「当社グループの目指す姿や、それを実現するための具体的な取り組みについて、全従業員にしっかり理解してもらいたいと考えました。そこで、副社長(経営戦略本部長)自らができるだけ丁寧に解説する動画を制作し、Udemy Businessのカスタムコース機能を活用して、全従業員が受講できる形にしました。社内制作の動画を講座として公開でき、社外非公開で無制限にアップロードできる点も有効でした」
同社では、毎年9月と3月を「まなび月間」と位置づけ、Udemy Businessの受講促進や資格取得支援など、自己啓発制度の周知を目的とした広報活動を集中的に実施しています。2025年度はDX推進部と連携し、ITパスポートの資格取得を重点的に案内した結果、取得者数が大きく増加しました。DX推進部 DX推進グループの井口七海さんは、次のように話します。
「全社横断で展開する『まなび月間』にあわせて、ITパスポート取得を推奨するキャンペーンを実施しました。その結果、2025年10月時点で1,400名以上(社員の約1割)が資格を取得しています。私自身もUdemy Businessを活用してITパスポートの資格を取得しましたが、参考書よりも理解しやすく、講座中心の学習で合格することができました。2030年までにDX人財を1,300人育成するという目標を達成するために、Udemy Businessを活用したリスキリングは、今後も重要な役割を果たしていくと考えています」
さらに同社では、Udemy Businessの受講時間が長い個人や組織を表彰する「Udemy活用グランプリ」も実施。「個人の部」「組織の部」それぞれ上位3名・3団体を表彰することで、自律的な学びを称え、学習意欲の向上につなげています。
また、「DXマラソン」キャンペーンという施策も展開しています。人事部 ダイバーシティ推進グループ副長の金子弦さんは、次のように説明します。
「Udemy Businessの中からDXに関連する講座をまとめたラーニングパスを3つ用意し、3つのコースを完走した方にデジタルバッジを付与するというキャンペーンです。マラソン大会のようなゲーム性を取り入れ、楽しみながらDX領域の学びを深めてもらうことを狙いとしました」
組織的に従業員の自己変革を支援し、会社の成長につなげたい
継続的な広報・促進活動の成果もあり、2025年10月現在時点では中部電力グループ3社の全従業員約1万4,000人のうち、9割以上が2講座以上のUdemy Businessを受講しました。
自らの意思でキャリアを切り開こうとする社員も着実に増えていると、金子さんは語ります。
「技術職として入社した社員が、経理部門への異動を希望し、Udemy Businessの簿記講座を受講しました。未経験ながら日商簿記3級を取得し、さらに希望部署への異動後も学習を継続して日商簿記2級、Microsoftオフィススペシャリストの資格も取得しました。こうした新たな挑戦に踏み出す社員が徐々に増えており、大きな手応えを感じています。『マイキャリア公募』の公募件数は、2024年度には420ポストに達し、目標を大きく上回る結果となりました(図1)」
実際、Udemy Businessの受講時間が長い社員ほど、「マイキャリア公募」に挑戦する社員が多いことがわかり、学びが挑戦の原動力となっていることがうかがえます。塚田さんは、次のように述べます。
「Udemy Businessを始めとする学びを支援する取り組みが、社員の間にも浸透していると感じます。2025年度までにエンゲージメントサーベイにおける『研修制度への満足度』で、総合スコアAランクを取ることを目標に掲げていましたが、2024年度に1年前倒しで達成することができました(図1)」

最後に、今後の展望について宮﨑さんと塚田さんは次のように語ります。
「Udemy Businessの活用率向上や資格取得の成果が、経営戦略や人財戦略にも良い影響を与え始めています。社内研修においても、Udemy Business上で内製講座を作成し、活用する動きが広がってきました。今後はこの学習プラットフォームを人財育成全般に生かし、さらに前進していきたいと考えています」(宮﨑さん)
「当社は、事業環境が激変する中でも社会の持続的な発展に貢献するため、既存事業の高度化にとどまらず、エネルギー事業とさまざまなサービスを掛け合わせた新たな価値創出を目指しています。そのためにも、従業員一人ひとりが自ら会社に貢献したいと思える環境を整え、自己変革に挑戦できる土壌づくりを今後も進めていきます」(塚田さん)