EPISODE
人と社会の
「Benesse(よく生きる)」
をめざして
【進研ゼミの進化:前編】
勉強なのに、やりたくなる、好きになる。新しい「進研ゼミ 小学講座」がめざすこと
勉強なのに、やりたくなる、好きになる。新しい「進研ゼミ 小学講座」がめざすこと
小学生進研ゼミデジタル赤ペン先生
家庭学習カンパニー 小学生事業本部 本部長
水上 宙士
2026年4月、「進研ゼミ 小学講座」「進研ゼミ 高校講座」が新しく生まれ変わります。それぞれの開発の背景や新たに始まるサービスの特長について、講座責任者の思いとともにご紹介します。
前編は「小学講座」についてお届けします。コロナ禍を経た環境変化などを踏まえ、「子ども自身がやりたくなる」学びを届けたいという思いからスタートした開発プロセスを、「小学講座」の責任者である水上に、話を聞きました。
変化をとらえた、新しい学びの開発
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- 紙のテキストと教具をメインにした通信教育「進研ゼミ」が、タブレットを活用した学習も可能にしたのが2014年でした。今回は12年ぶりのリニューアルになります。開発に至った背景を教えてください。
- 水上
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「進研ゼミ」のタブレット教材「チャレンジタッチ」が登場した2014年から、コロナ禍も経てライフスタイルは変化しました。共働き世帯は増加傾向にあります(「早わかり グラフで見る長期労働統計」独立行政法人労働政策研究・研修機構)。このことから、子どもの家庭学習に関わることができる保護者のかたが減っていると推測できます。つまり、関わりたい気持ちはあっても、学習の様子を隣で見たり、取り組みを促す声かけをしたりすることがなかなかできなくなっている、ということです。
子どもが自分の意志のみで学習に向かい、継続することはかなり難しいです。学習の様子を確認し、見守ってくれる存在がいることや、学習自体に楽しい仕掛けがあるなど外発的動機付けがまずは必要と考えます。
これまでの「進研ゼミ」でも、こういったことは重視し提供してきましたが、子どもたちを取り巻く環境の変化を受け、改めて講座の構成や学びたくなる仕組みを考え直す必要があると認識し、開発を決めました。
「勉強しなさい」と言われなくても、子どもが自ら学びたくなる講座を
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- 講座のコンセプトはどのようなものですか。
- 水上
- 保護者のかたが「勉強しなさい」と声をかけなくても、子どもがやりたくなり、自ら学びたくなる、そんな講座です。
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- 具体的に、講座の特長を教えてください。
- 水上
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子どもの学習をサポートするポイントが2つ、そして保護者のかたの関わりを支援するポイントが1つあります。
まずは、子どもの学習について、1つめは、「担任制赤ペン先生」です。これまでも赤ペン先生は月に一度、添削指導を通じて、学習を応援してきました。先生とのやり取りを楽しみに、1か月の学習を頑張ってくれるお子さまもいらっしゃいます。
ただ、保護者のかたが家庭学習に関わることが難しくなっている現状を受け、タブレットを開くと赤ペン先生が24時間365日、日々の学習を見守り応援してくれていると思える仕組みを作りました。もちろん、月1回の添削指導も継続します。
2つめは、ゲーム攻略型学習です。赤ペン先生の見守りに加えてよりモチベーションが上がるように、子どもが自らどんどん勉強したくなる、ゲームのように攻略していける学習の仕組みを、改めて強化しています。今の子どもたちは、様々なゲームに触れ、品質が高いものに多く接しているので、クオリティの高い体験ができることに注力しています。また、楽しいだけではなくしっかりと学習の動機づけにつながるよう、東京大学の教授にもご指導いただきながら設計しています。
- 水上
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保護者のかたの関わり支援としては、忙しくてなかなかお子さまの学習状況を把握できないという課題をサポートします。スマートフォンのアプリ経由で担任の赤ペン先生から毎日子どもの学習進捗をレポートするサービスです。
今日の学習ではここにしっかり取り組めていたので、このようにほめてあげると良いですよ、といったほめ方のアドバイスもお届けします。お子さまにとっては、保護者のかたがほめてくれることや認めてくれることがとても力になるのです。
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- 新たな開発を、予定していた制作期間の半分で完了させたとのことですが、どのような工夫があったのでしょうか。
- 水上
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まずは、開発に関わるメンバー、スタッフの皆さまの頑張りによるところが大きいです。
また、開発方法を変えたことも、スピードアップにつながったポイントです。全体の企画を固めきってから開発を始めるのではなく、機能ごとに企画、開発を進め、試作し、それを見ながら皆で議論する方法に変更しました。試作段階で小学生にも実際に使っていただき、意見や感想を反映することもできました。企画書から各々がイメージしながら議論をするのではなく、実際にものを見ながら議論をするので効率的かつ品質の向上につながり、開発スピードも格段に上がりました。
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- 現時点でのお客様の反応は、いかがですか?
- 水上
- 毎年、次年度講座についての登録を受け付けているのですが、その登録率が、昨年の同じ時点と比較すると約2倍になるなど、好評です。また、試作段階で使っていただいたお子さまや保護者のかたからもすごく楽しみというお声をいただき、とても嬉しく思っています。
勉強が好きな子どもを増やしたい
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- 「進研ゼミ」をはじめとする教育サービスを通じて、これから実現していきたいことを教えてください。
- 水上
- 勉強が好きな子が増えたらいいな、と思います。多くの子どもたちにとって勉強とは、やらねばならないことですが、その時間を少しでも楽しくしたいと考えています。先ほどお伝えした新講座の特長である、赤ペン先生が見守ってくれることや、ゲーム攻略型の学習は、やる気を引き出す外発的動機づけの一例です。まずはそれらをきっかけに学習してもらい、できなかった問題が解けるようになることや、新しいことを知って楽しいと感じる経験を通じて、「学ぶ喜び」を感じてもらえたらと思います。そしてその先に、自ら「もっと知りたい」「深めたい」といった内発的な学びの意欲や知的好奇心が育まれることを目指しています。
- 水上 宙士(Hiroshi MIZUKAMI)
- 「進研ゼミ」のデジタルマーケティングや、広告宣伝・PRなども含めたブランドマーケティングを担当し、ACC TOKYO CREATIVITY AWARDSや日本マーケティング大賞などを受賞。2020年に社内横断部門のDigital Innovation Partnersの立ち上げから参画し、ベネッセグループ全体のDXを推進してきた。2025年4月より小学生事業本部本部長として、新講座開発の責任者を務める。
※ご紹介した情報、プロフィールは2025年12月取材時のものです。