Benesse 「よく生きる」

EPISODE 学びを支えるストーリー 将来必要な力が
身につく

子どもが探究の
醍醐味を味わえる
チャレンジコンクール
小学生自由研究チャレンジコンクール
進研ゼミ小学講座
教材編集者
黒瀬 裕之
コンクールには5年前からメンバーとして関わり、2年前からはプロジェクトリーダーを担当しています。普段は「進研ゼミ小学講座」で<わくわく発見BOOK>等の教材制作を担当。
毎夏、進研ゼミ小学講座で開催している「夏のチャレンジ全国小学校『未来』をつくるコンクール」。16年間に渡り、全国の小学生から毎年4万点を超える作品の応募があります。当コンクールは、新しい学習指導要領でも重視される探究する力を伸ばすきっかけや、保護者が成長を実感する機会にもなっています。
こだわりポイント
  • コンクールを通じて、課題発見能力や課題解決能力を養う。
  • コンクールの募集内容や選考基準を発達段階に合わせて設計し、子どもの学びに寄与する。
  • ご家庭とともに子どもたちの成長を後押しする。

子どもの学ぶ力を育むきっかけに

「夏のチャレンジ全国小学校『未来』をつくるコンクール」(以下、コンクール)を通して育みたい力とは。
黒瀬
私は、5年間、コンクールの担当をしてきました。毎年、全国から小学生が4万通近くにも及ぶ自由研究を応募してくれます。自由研究は昔からある夏休みの宿題の定番ですが、これからは一層その学びの価値が増していくと考えています。

2020年には小学校の学習指導要領が改訂され、探究的な見方や考え方がより重視されるようになります。これは時代の変化を踏まえた大きな変革です。
これからは、AIに仕事が奪われる時代がくるなどと言われていますよね。
こうした社会で生き抜いていくには、自分で課題を見つけ、解決する力が必要不可欠です。さらにいうと、年々社会課題は複雑化していくので、それを紐解きながら学びをアップデートしていける人が求められると思うのです。

自由研究は、身近な課題を見つけて、それをどう解決していくかを考える探究活動です。取り組む中で、課題発見能力や課題解決能力をつけていくことができます。私はコンクールを、自由研究に打ち込み、子ども達自身の課題発見能力や課題解決能力を高めていくきっかけにしていただきたいと考えています。

だからこそ、これまで研究の眼差しを持ったことがない子どもが「やってみよう」という気持ちを持てることを大切にしたいと考えています。

保護者の方は自由研究について、つい「きちんとしたものを出さなければいけない」「すごいものを作らなければいけない」と思ってしまいがちです。しかし、子どもたちは研究に取り組む過程で成長しているものです。子どもたちが自分の関心に没頭できるきっかけとしてコンクールを使っていただきたいと思っています。
子どもの課題発見力や課題解決力の可能性を感じたエピソードとは。
黒瀬
身近な課題を解決しようとした好例が、「涼しい布団」について研究した作品です。
2018年度の環境部門の大賞を受賞した作品ですが、「環境」という大きなテーマから、エアコンをつけっぱなしにしないために自分ができること、という身近な取り組みへと課題をしぼり、「どのような素材の布団ならクーラーを使わなくても涼しく眠れるか」について実験や調査を重ねていました。

しかも、「ふとんのひみⅡ」と名付けてコンクールに送ってきてくださったんですが、前年度には「Ⅰ」に取り組んでいるんです。生活の中のちょっとした疑問から継続的な研究につなげられている子どもたちの学びの姿勢を見られることは、このコンクールの醍醐味ですね。

また、これからの社会において直面する課題や問題は、一人だけで解決できるようなものではありません。その中で重要となってくるのが、仲間と課題に向き合っていくためのコミュニケーション能力です。
自由研究では、課題を自分にひきつけて考え、その自分の考えをわかりやすく提案することが大切です。研究を通して、コミュニケーション能力、その中でも特にアウトプットする力が養われます。コミュニケーション能力の中でもアウトプット力が養われていきます。

発達段階に合わせた成長への眼差し

子どもたちが探究の醍醐味を感じられる工夫とは?
黒瀬
コンクールは子どもの学年ごとに、募集する部門や審査基準を定めています。発達段階に分けることで、応募のハードルが下がり、多くの子どもたちの探究のきっかけになるからです。

コンクールは、「作文」「自由研究」「環境」「絵画」の部門に分けて募集をしています。また、応募作品はその学年の学習指導要領で示されている単元目標などとリンクさせた選考基準に沿って評価します。

例えば、自由研究部門では、小学1・2年生は「子ども自身の興味関心」を大切にしつつ、3年生以降の理科につながるポイントとして「観察」に重点を置いているため、「生き物のつくりやしくみの特徴をとらえられている」、「感じたことを思いのままにかき、いきいきとした様子が表れている」という基準を設けています。

一方で、小学5・6年生では「『目的→予想・仮説→調べ方→調査、実験・観察→結果→考察』の流れができているか」や「自分の興味・関心や身近な生活、地域の自然や社会の問題などにひきつけて考えられている」、「人に伝わるようにわかりやすく表現できている」という、より具体的・主体的な行動を伴う内容を求める基準を設けています。
こうした選考基準は応募要項に明記しているので、参考にしていただきながら研究を進められるようになっています。
テーマ設定は学年が上がるにつれて変わっていくか。
黒瀬
高学年になるに連れて、自分の興味だけでなく周りへ意識を向けて、「親兄弟や地域の人など身近な他者との関わり」を通じて、テーマ考える子供が増えます。
例えば、高学年では自転車に乗れない弟のために補助輪なしで乗れる方法を研究したり、足が不自由な兄弟の歩くサポートとなる道具を調査したりした自由研究がありました。誰かを助けてあげたいという思いから、自由研究のテーマを決定する子どもが増えるのです。年齢に合ったテーマ設定により、子どもたちは一層やりがいを持って探究活動に取り組めるようになっていきます。

日頃気付けない子どもの成長を実感

コンクールの応募を通じて感じる子ども達の成長とは。
黒瀬
毎年、大賞を受賞された子どもたちに取材に行き、冊子を作成しています。その一環として保護者の方にもインタビューをするのですが、多くの方が子どもたちの成長への驚きを語ります。
私が印象的に残っているお話に、「自由研究への取り組み方を見て、子どもがこんなにも粘り強く頑張れるんだということを知りました」「作文をすごく丁寧な字で書こうとしていて、驚きました」「どうやったら伝わりやすいかを考えて、まとめのページのグラフを何度も何度も書き直している姿に感動しました」といったものがあります。

自由研究には、保護者の方が日頃気づかないような子どもたちの成長が現れるのだなと実感しています。子どもが自ら「やりたい」という気持ちを持って臨んだものだからこそ、夢中になれるという側面があるのでしょう。

子どもたちが探究の醍醐味を知れるきっかけづくりを、今後も重ねていきたいと思っています。

聞き手・文:佐藤 智(ライター)

撮影:デザインオフィス・キャン

(2019年9月取材)

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