株式会社アイシンは、住宅の外構部分に使用される資材の販売および施工を行うエクステリアの専門商社です。2024年12月から、Udemy Businessを導入し、全社員を対象とした学習環境の構築をスタート。社員一人ひとりが自ら学ぶ力を身につけることをめざしています。今回は学習を推進する、取締役の鍋さん、事務局の丸吉さん、システム管理課の今林さん、村山さん、兒島さん、そしてUdemy Businessで学習を進める広島営業所の瀬尾さん、羽曳野営業所の尾上さんに、活用促進のポイントや導入によって感じる成果、今後の展望についてお伺いしました。
INDEX
変わる現場、DXの潮流のなかで必要なのは社員のリスキリング
アイシンは、エクステリア・造園関連資材を扱う商社として50年以上の歴史を持つ会社です。業界にはまだまだアナログな部分が残っており、「世の中のDXやAIの潮流に対応できるようにしたい」という会社の方針もあったことから、社員のリスキリングを検討し始めました。
「アナログな業務に対しては、電子請求書発行や電子契約、ワークフローシステムなどSaaSツールを導入し始め、業務の効率化やコスト削減を図っています。そして、社内全体にも、業務改善の意識を広げ、アナログからデジタルに置き換えられ、効率化が図れるポイントを社員から提言してもらえるようにしたいと考えました。そのためには、デジタルの知識を気軽に学ぶ場の提供が必要でした。システム課以外の社員にも、システム会社との打ち合わせや、また実際に導入テストに協力してもらえる人材の育成を目的として、最適な学習コンテンツを模索していました」(鍋さん)。

社員のITリテラシー向上と、学ぶ環境が整っていることによる採用市場での訴求力アップをめざし、Udemy Businessの導入を決めたアイシン。初級者から上級者まで幅広く対応できるデジタル技術の講座があることと、実務者が作成した講座を学びながらアウトプットまでできるコンテンツが多く、実務に活かせるイメージが湧いたことも導入の決め手となりました。

トライアル希望者枠が3時間で満員に。2週間で150時間超の学習を達成
さらにUdemy Businessの導入を後押ししたのが、トライアル時の実績です。アイシンでは、2週間のトライアルにあたり20人の希望者を募ったところ、募集人数がおよそ3時間で満員になりました。さらに2週間での合計学習時間は150時間を超え、社内の学びへの意欲の高さがうかがえます。トライアルで受講した社員のうち8割以上が継続利用を望んだこともあり、Udemy Businessの本格導入を決めました。
現在は役員からパートタイマーまで、社員の半数にあたる約70名の希望者全員がUdemy Businessを活用して学びを進めています。その背景には「社長が社員教育に非常に前向きで、日頃から社内に学びの大切さを発信していたことも後押しの要因になりました」と鍋さんは分析します。
「管理職向けの朝礼で、社長は学びのカルチャーを浸透させるべく『社員が一人ひとり自らの価値を高めることは、今も昔も重要なこと。転職に困らないくらいのスキルを身につけよう』と発言したこともあります。転職者が出ると会社にとっては不利益になるので、そんなことを言う会社はあまり多くないと思います。しかし当社では社長自らがそれを言っていること、そして社長自身もUdemy Businessを利用していることから説得力があるのだと思います」(鍋さん)。

「まずは週1回、興味のある講座から」Udemy活用を習慣化する声掛けを
トライアル終了後、本格的に受講者を募集するうえで重視したのは、学びの重要性を訴えることだけでなく「学びのハードルを下げること」と丸吉さんは話します。 「会社としては、デジタルスキルやシステムの開発・利用に関わる知識を身につけてほしいという希望があります。しかし、最初から難しい内容を勧めても、従業員の意欲が下がってしまうのではと考えました。そこで、まずは週1回Udemy Businessにアクセスし、興味がある分野から学んでみることを推奨しました。」(丸吉さん)

加えて、事務局であるシステム課からは定期的にTeamsを通じておすすめ講座や人気講座ランキングを発信し、学習促進を行っています。取り組みについてシステム管理課の兒島さんは、「Udemyの参加者チャンネルから『これが人気です!』という講座の紹介を発信しています。」と説明します。

発信について、受講者の瀬尾さんは「どうしても自分の興味のある分野以外は学ぶきっかけが少ないので、おすすめされると『見てみよう』という気になり、視野が広がるので大変ありがたいです。」と振り返ります。
学びのハードルを下げることや、受講者がUdemy Businessにアクセスするきっかけをつくることで、講座を視聴する環境づくりや習慣づけにつなげています。
アクティブ率は平均の1.5倍!Udemy学習から見えた現場の変化とは
社長からの発信や事務局の活用促進が功を奏し、アイシンのUdemy Businessにおけるアクティブユーザー率は、Udemy Businessを利用する全企業の平均に対し約1.5倍という驚異的な数値を達成しています。
学習によって表れた成果や受講者の変化について、丸吉さんは次のように話します。
「社内で人気の講座は、Outlook・Teams・ExcelなどのMicrosoft関係で、実務に使えるものが中心となっています。ツールの時短術や使いこなすコツなどを学んでいるようです。加えて、ChatGPTなどのAI関係の講座を視聴する人も多くいます。受講者への連絡用で使用しているTeamsのチャットでは、一部の社員から「私の場合は実務でこんなふうにAIを使っています」というノウハウ共有の投稿もありました。これまでAIに触れていなかった人にも、そういった投稿によって『私も使ってみよう』という波及効果が生まれるのではと期待しています。」
受講者からは、「書類作成やメール作成の場面でChatGPTを使っている」という声も徐々に増加しているそうです。まずは触れてみる、簡単なことからやってみるといった行動を促し、徐々にデジタル技術に興味を持つ社員が増える状態をめざしています。

スキマ時間で体系的な学びを獲得。現場社員が語る学習の手応え
Udemy Businessで学習を進める広島営業所の瀬尾さんと、羽曳野営業所の尾上さんに学習へのモチベーションや実感する成果について伺いました。
瀬尾さんは主に資材の受発注や電話応対、見積もり作成の業務に携わっています。「以前から業務で使用するMicrosoft Officeを改めて勉強したいと考えていました。Udemy Businessには初心者向けの講座も豊富にあり、Excelなどの講座を視聴して『ここまではわかる』と自分のレベルを確認しながら学んでいます。勤務中は昼休みなどのスキマ時間で1チャプターだけ視聴したり、週末は長めに時間を取って学んだりと、自分の好きなペースで学習できる点が便利だと感じます。これまではわからなかったことも、『そういうことだったのか』と知識が結びつく瞬間があり、少しずつ学習の成果が表れ始めています」(瀬尾さん)。
瀬尾さんと同じく受発注業務の担当を務める尾上さんは、業務で使用するOutlookやTeamsを使いこなすために、Udemy Businessの学習を始めました。以前からYouTube動画などで自主学習をしていましたが、Udemy Businessでは体系的な講座としてまとまっているため、基本から学び直すのにぴったりだと感じています。

「学習するときは、パソコンとタブレットを並べて置いて、タブレットで動画を流しながらパソコンで実際の操作をする方法で進めています。土日は最低1時間やると決めており、今日はこのセクションまでやるというように、自分なりの目標設定をするのもおすすめの方法です。Outlookの講座ではクイックパーツの使用方法を、Teamsの講座では検索などの実務で使えるテクニックを学ぶことで、業務効率が改善したと感じています。ほかにもUdemy Businessには業務にいかせそうなコンテンツがたくさんあるので、継続して学んでいきたいと思います」(尾上さん)
リスキリング文化を根付かせ自律的に学び続ける組織をめざす
リスキリングプログラムを3か年計画で進めているアイシン。1年目の現在は、まず受講者にUdemy Businessを視聴する習慣を身につけてもらうことに取り組んでいます。2年目も引き続き希望者に学習環境を提供する予定ですが、今後は受講者がグループになって直接対話ができる機会を設けるなど、成果をアウトプットしたり可視化したりできる場づくりを進めながら、リスキリング文化の醸成を図りたいと考えています。
そして当初の導入目的である「システム会社との意見交換や、導入後の活用促進・DX推進ができる人材を社内で育成する」ことを達成に近づけるため、デジタルが好きで、使いこなせる社員を1人でも多く増やしていくことが直近の目標です。
いずれはDXを含めた全社でのスキル向上を視野に入れ、自社を取り巻く環境の変化に柔軟に対応しながら、変化にひるむことなく進み続ける組織をめざします。