Benesse 「よく生きる」

Learners’ Voice 学び続ける大人たち

理想の自分に近づくために
学び続けたい

安井梨沙子さん

プロジェクトマネージャー

九州大学芸術工学部芸術情報設計学科卒業。株式会社ベネッセコーポレーションに入社し、通信教材のマーケティングを担当。業務の傍ら、大学時代から興味のあったプログラミングを学び続け、入社4年目に社内公募制度を利用して開発部に異動。「こどもちゃれんじ」の動画教材の開発を経て、現在は、「進研ゼミ中学準備講座」のデジタル講座のプロジェクトマネージャーとして勤務。
「人生100年時代」と言われる現在、人生を豊かにするためには、大人になってからも学び続けることが欠かせません。本コーナーでは学びにより自己実現を果たした方へのインタビューを通して、学ぶ気持ちの後押しや学び続けるためのヒントを発見し、学習者を応援していきます。

今回は、大学在学中からプログラミングに興味を持ち、マーケティング職として勤務しながらも学び続け、開発職に職種転換を果たした安井梨沙子さんにお話を聞きました。

独学で
プログラミングを学び、
マーケティングから
開発に異動

「進研ゼミ」や「こどもちゃれんじ」のデジタルコンテンツを開発するプロジェクトマネージャーとして働く安井梨沙子さんは、入社後ダイレクトメールのマーケティング職として働きながら、プログラミングを学んでいた経験が評価され、開発職に職種変更したキャリアを持つ女性です。

プロジェクトマネージャーには、開発プロジェクト全体の責任を持つだけでなく、企画と開発をつなぐ役割もあります。安井さんは、企画担当者とコミュニケーションを取りながら、「どのようなコンテンツを作りたいか」という要望を正確に把握し、開発側のエンジニアに伝えることを大切にしていると語ります。

「例えば、企画担当者からの依頼が『子どもの学習進度をマップのように見せたい』という曖昧な依頼だった場合、解釈の幅が広く、開発者が正しく要件に落とし込めない可能性があります。私はプロジェクトマネージャーとして企画担当者が思い描いているイメージや伝えたいメッセージを正確に把握し、開発者が理解できる形に整理して伝えることで、開発メンバーが滞りなく作業できるようにしています」

安井さんが企画と開発の橋渡しが重要だと考えるようになったのは、開発部に異動し、デジタルコンテンツを開発する中で、両者の認識の違いを感じたからです。
「担当したデジタルコンテンツの開発は、まず開発側が企画担当者の要望を聞き、要件定義書にまとめるところから始まりました。しかし、企画担当者と開発者の間には共通言語が少なく、開発者に正しく企画意図が伝わらなかったり、企画担当者が要件定義書のレビューに苦戦する場面に直面しました。企画担当者が要件定義書に目を通しても完成形をイメージすることが難しく、コンテンツができ上がってから両者の認識に食い違いが発覚するのでは、という懸念もありました。」

安井さんの部署では、主にウォーターフォールという手法で開発しています。これは、水が上から下に流れていくように、各工程を上から順番に進めていく開発手法です。全体像を把握しやすい半面、でき上がるまでシステムの完成形を確認できないため、開発途中で仕様の変更があった場合に全工程に影響が出てしまうという特性があり、特に開発前に認識を揃えておくことがより重要になります。

そこで安井さんは、要件定義書作成と同時にAdobeXDを用いてプロトタイプ(試作品)を作り、企画担当者に画面遷移やボタン操作などの操作性、デザインを確認してもらった上で、開発を進めるように提案しました。加えて、企画検討の会議に通常参加しない開発者も呼び、開発者も企画の意図を十分理解できるようにしました。

ウォーターフォール開発でのプロトタイプ活用は社内では新しい試みでしたが、実際の完成形に近い形で企画担当者、開発者双方の合意を取った上で開発を進めることができ、結果的に開発全体のスピード、品質が向上しました。

この取り組みが評価され、安井さんは現在、社内の企画担当者や新人に向けて、プロトタイプ研修の講師を務めています。
「私の研修を受けた若手社員が、私たちの開発チームに配属され、実際にプロトタイプを開発業務で活用して、活躍する姿は、頼もしい限りです」

独学で身につけた
デジタルスキルが
いつしか自分の武器に

安井さんが、デジタルスキルを学び始めたのは大学生の時。大学周辺の観光を目的としたiOSアプリの制作がきっかけでした。
「それまでも課題や個人制作でプログラミング経験はありましたが、一からiOSアプリを開発するのは初めてでした。困っていた時にUdemyを知り、早速SwiftでiOSアプリを開発する講座を受講しました。Udemyでは動画を見て、自分で手を動かしながら学べるので、書籍よりも実践的でわかりやすく、iOSアプリ開発が初めての私でも、GPSでのトラッキング機能や写真投稿機能を実装したアプリを2週間で開発できました」

この経験でアプリ開発の面白さに魅了された安井さん。大学卒業後は人に役立つデジタルコンテンツを開発したいと思い、ベネッセコーポレーションに入社。初期配属では中学生向けのダイレクトメールの企画・制作を担当、そこでも必要なスキルを習得するために学び続けました。

「大学ではデザイン専攻だったので、配属先のマーケティングの知識を体系的に得て、その上で企画を裏付けるための理論も学びたいと考え、マーケティング・ビジネス実務検定の資格を取得しました」

その傍ら、いつかはデジタルコンテンツの制作に携わりたいと考え、Udemyでプログラミング言語やプロトタイプソフトの使い方を学び、個人制作も続けました。また、仕事では、Twitter運用などデジタルに関わる業務に積極的に参加。入社4年目には、社内公募制度を利用し、それらの実績をアピールして、念願の開発職に異動しました。

自分の強みを増やして
選択肢の幅を広げたい

安井さんにとって、学ぶことは理想の自分に近づくための「手段」。「自分でアプリを作りたい」「いつか開発の仕事をしたい」といった目標に向けて学びを続けてきました。プロジェクトマネージャーになった現在も、Udemyを活用して学びを続けているそうです。

「プロジェクトマネージャーになってから、自分の手を動かして開発をすることは少なくなりました。ただ、自分で思い描いたものを形にするのが好きなので、個人制作を続けています。直近ではUdemyの講座を受講し、Nuxt.js(JavaScriptをベースにしたフレームワーク)とFirebaseでデータ管理・通信する方法を学び、英単語帳アプリを自作しました。Udemyのよさは、自分が思い立った時に受講でき、短時間で必要な技術を習得できることです」

学ぶことで自分の強みを複数持っておくと、自分の市場価値が高まると感じた安井さん。結婚や出産でライフステージが変化しても、強みが多くあればキャリアの選択肢が広がるはずだと考え、スキルアップにますます力を入れているそうです。
「今後は、1つの製品に対して責任を持ち、自信を持って世に送り出せるようなプロダクトマネージャーを目指して、学び続けたいと思っています」