CASE STUDY

注目の生成AIを自社プロダクトに導入
子どもの期待に技術で応え続ける

事業フェイズに合わせたDX推進

昨年末から急速に話題に上り始めた米Open AIの「ChatGPT」。飛躍的な進歩を遂げた生成AI(人工知能)をいち早くサービスに取り込んだベネッセがリリースしたのが「自由研究おたすけAI」になる。自由研究のテーマを決める過程で入力内容を受けてアドバイスを返してくれるという仕様。様々なリスクを抱えながらも、短期間でリリースできたのはなぜか。システムソリューション本部アジャイルエンジニアリング部の谷口光太朗氏に話を聞いた。

谷口 光太朗

システムソリューション本部
アジャイルエンジニアリング部
小学生アジャイル課 課長

高校卒業後、アメリカに大学留学しノースアラバマ州立大学でマーケティングを専攻。卒業後、2011年にシステムベンダー会社に新卒で入社。 2017年12月ベネッセに転職した後、現在に至るまで進研ゼミのデジタル教材開発を手掛ける。

ISSUE(課題)

3カ月と限られた時間で新技術採用
生成AI独自のリスクが待ち構える

2023年7月にリリースした小学生の親子向け生成AI(人工知能)サービス「自由研究おたすけAI」に米Open AIの「ChatGPT」のテクノロジーを使おうと決まったのはリリース予定の3カ月前でした。
どのようなリスクがあるかもまだ分からない、ガイドラインも決まっていない中での開発です。正直、リスクは高いだろうなと考えていました。技術的なリスクはもちろんのこと、ChatGPTが適切ではない提案をしたり、本来ユーザーに考えて欲しい部分に対し直接答えを提示してしまうリスクがありました。これまでのベネッセが手掛けるサービスではユーザー側が入力する内容だけを気にしていればよかったのですが、今回はユーザーの入力とシステムの回答という双方に気を配る必要がありました。それも、子ども向けという高い品質を実現しなければならない。とても高いハードルが待ち構えていました。

SOLUTION(ソリューション)

企画部門と開発部門が密に連携
心理的安全性が確保できた点も

短期間でサービスをスタートさせるためには、社内において企画部門と開発部門が密に連携しながら進めていく必要がありました。企画部門がつくり上げた企画を受けて、あとは開発部門が頑張るという従来の体制では正直、難しかったと思います。日々チーム全員でミーティングを繰り返しながら微調整を繰り返していきました。

また、プロジェクトの発足時にチーム全体としての心理的安全性が確保されていた点も大きかったと思います。AIが不適切な回答をしてしまうかもしれませんし、文部科学省が定めようとしていた教育現場における生成AIのガイドラインとそぐわないかもしれません。開発を進めても最終的にリリースできないかもしれない。こうした無駄になる可能性も含めて社内の上層部がコミットメントしていたことで、開発に集中できる環境が生み出されました。

RESULT(結果)

8割を超える利用者から高評価
システム不具合も報告されず

最大の成果は限られた期間内でリリースできたことです。また、利用者の8割を超えるユーザーから自由研究の役に立ったと回答いただきました。システムの不具合が報告されなかったという点も大きな成果です。

企画部門と開発部門が意見を出し合いながら起こりうるリスクについて徹底して話し合ってきた結果が実を結んだのかもしれません。世の中からもネガティブな声が出てくることはなく、デジタルリテラシー教育の側面からも保護者の方々から好意的な反応をいただきました。予想外な反応として、今回ChatGPTにキャラ付けをして対話相手としていたのですが、キャラクター自体にも好意的な反応があったことです。会話できる回数が絞られている中でも「ありがとう」等言ってもらえることも多く、会話相手がそこにいると受け取って貰えたのではないかと思います。

PERSPECTIVE

PERSPECTIVE

PERSPECTIVE

PERSPECTIVE

生成AIを今後、どう活用していきますか?

おそらく来年もやろうという話は出てくると思います。今回は初の試みでしたが、反省点がまったくなかったわけでもありません。改善をしてまた臨みたいと思っています。一方、自由研究だけに絞る必要もないかなと考えています。子どもたちが困っているのは自由研究だけではありません。例えば、夏休みには様々な課題が出るので、もしかしたらスケジュールをどう立てるかという部分で役立つサービスを生み出せるかもしれません。

やはり大事なのはユーザーである子どもたちが何を求めているのかを知り、それに応えるプロダクトを提供していくこと。様々な人たちと議論をしながら新しいサービスを生み出していければと思っています。

子どもたちが求めるものは変わってきていますか?

昔と比べると、いまの子どもたちは勉強しなければならないことが確実に変わってきています。こうした今の子どもたちを全面的にサポートしていきたいし、それを期待されているのだろうと感じています。いい学校に入っていい会社に入ることが良しとされてきた時代から大きく変わってきていますよね。職業も多様化しています。描く将来像に向けて歩む子どもたちにどのようなサポートができるのか、より深くかかわっていけるといいですね。

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